都心にたくさんある空きビルをマンションや仕事場に改築しようという動きが出ている。学生がたくさんいる千代田区では、空きビルを学生向きのマンションに改築する「毎日コムネット」(本社千代田区、伊藤守社長)という会社もある。伊藤社長は東京商工会議所千代田支部や千代田区が進めている「エドバレー」構想に参加して、約10万平方メートルの空き室のビルを5000戸の学生マンションに転用するプロジェクトを進めている。千代田区には11の大学があり10万人が通っている。
空き室をSOHO(スモール・オフィス、ホームオフィス)として事業者に貸すやり方も出てきた。日本政策投資銀行はビルの所有者と空きビルを再生するノウハウを持つ人材を結びつける「家守(やもり)支援事業」を始めた。
江戸時代の家守は長屋の管理を所有者から請け負い、入居募集から生活相談、もめ事の仲裁までした。この家守を支援するのが新しい事業である。
既に二つの事業がスタートしている。一つは千代田区が持っている中小企業センタービルで昨年10月にオープンした。ビルは場所も不便なこともあり、利用率は5割以下と低迷していた。そこで家守にSOHOの支援会社「プラットフォームサービス」を指定した。ビルをSOHO向けにするため、日本政策投資銀行は同社に2500万円融資した。全館に無線LANを導入し、共同利用できるコピー機や貸し会議室を作った。この結果、情報技術関連のサービス会社など全テナント(32ブース)がオープン前に埋まった。
この「ちよだプラットフォームスクウェア」と名づけた会場で昨年10月、「街づくり講演会」が開かれた。都市プランナーの清水義次さんとNHK情報ネットワークのプロデューサーの加藤和郎さんが講演し、事業に関心のある住民がたくさん訪れた。
もう一つは世田谷区で昨年6月に閉校した池尻中学校の校舎を活用した事業だ。家守に家具会社の「イデー」を指定して2000万円を融資し、昨年10月に映像デザイナー向けの「世田谷ものづくり学校」になった。デザイナーやクリエーターなどが工房として使っている。
日本政策投資銀行には全国から自治体、商店街、不動産業者などから60件に上る問い合わせが来ている。中には事業化できるものもたくさんある、としている。