ある優秀な女子大学生と話をしていたら「どうして子ども部屋にはあらゆる機能をごちゃ混ぜにして詰め込んであるのですか?」と質問された。
彼女いわく、「集中して勉強するためにある机」と「リラックスして寝るベッド」が同じ空間に、しかも狭い部屋の中にあるのが理解できないと言う。子ども部屋の机に座って勉強していると、ベッドが目に入りついごろっと横になりたくなり、ベッドに横になると机が目に入って「ほんとはあそこで勉強してなきゃならない」と心が痛み、リラックスできないという。
彼女は小さい頃から食卓で勉強するのが好きで、大学受験のときに初めて3畳の部屋に自分の机を置かせてもらうまで、食卓で宿題をするのが常だったと言う。食卓で勉強していると、おやつの時間にはそこを空けなければならないし、夕食の時も勉強道具を片付けなければならない。「おやつまでにこのページまで済ませよう」「夕食までに宿題を終わらせよう」と、ごく自然に集中力が身についたと言う。
「遊びの要素も多い子ども部屋で1人机に向かっていると、反って気分が散漫になり集中できない」という意見は、他にも聞いた。いずれも「リラックスと集中という相反する行為を、狭い同室の中でするのは無理」というものだった。
これは、学業優秀であるだけではなく、スポーツも好き、あるいはボランティア活動など社会貢献をしているなど、勉強だけに偏っていない大学生の聞き取り調査をしていてわかったことである。
ある学生は、「子ども部屋にいると眠くなり、ベッドに横になると熟睡してしまうので、試験前はリビングに布団を持っていって居間のテーブルで勉強した。そうすると眠くなりにくかったし、例え眠くなっても仮眠ですんだ」と言う。「リビングは他の家族もいて集中しにくいのでは?」と聞くと「見られているのでかえって励みになった」という答え。食卓勉強派は、「飲み物や食べ物が手近にあるので、それも便利だった」とも言う。
子ども部屋を日当たりの良い南側にもってくることにこだわる親も多い。確かに遊ぶ時には「陽(ひ)だまりの気持ち良さ」は何ものにも替え難い快感であるが、勉強する時には眠気を誘いやすい。
「太陽が燦燦(さんさん)と当たっていると、つい気持ちが外に誘われて勉強に集中しにくかった」と答えた男子学生もいた。この男子学生もベッドルームは弟と共用(2段ベッド)で、勉強部屋は3畳だったとか。
子ども部屋が南側にある場合、勉強に集中するためにわざと南側のカーテンをしめて太陽光を遮り、涼しい感じを出すように工夫したという学生もいた。壁の色も寒色系の方が落ち着いて勉強できるようだ。
「子どもの数だけの子ども部屋がある住まい」は、豊かさの象徴のように思われて普及してきたが、それが本当に子どもの成長にとってよかったのだろうか、という反省の時期にきているように思われる。これからは「用途にあった個室」の一つとして、子ども部屋の質が問われることになりそうだ。