記録的な供給ラッシュが続くマンション市場だが、土地価格・建築費といった原価だけでなく、住宅ローン金利や税制といった購入をサポートするものすべてが値上がり、もしくは上がろうとしている。マンション市場はユーザーの経済的な取得能力と供給者の商品開発能力で決まると言われているが、これら販売面での不安要因は今後、ボディーブローのように効いてきそうだ。
不動産経済研究所がこのほど明らかにした「2005年全国マンション市場動向」によると、全国の供給戸数は3年ぶりに16万戸を突破し、2006年も17.4万戸と4.0%増加すると見込んでいる。大都市圏だけでなく地方圏ともにマンションの都心・大規模化が進展しているためである。
このように大量供給が今後も持続する見込みだが、今年最大の注目点は前回(06年1月20日)、この項で書いたように「住宅ローン金利の先高観と用地費などの高騰に伴う“新価格”への移行」問題である。
まず素地価格の上昇は一昨年の後半あたりから徐々に顕在化し、昨年のゴールデンウイーク明けには完全に路線価の3倍時代に突入したと言われている。今ではさらにヒートアップし、優良マンション用地の値段はいくらだったら落札できるかの札入れになっており、先行きどのレベルで収束するかは全く見当が付かない状況である。こうした異常な素地価格は いずれ販売価格に転化せざるを得ないだろうが、問題は果たしてユーザーが“新価格”にどこまで付いてくるかである。
ただ、販売価格に転化されるのは一挙にという訳ではない。計画をして開発許可を取って着工に至るまでには、50〜100戸規模の中小規模物件でも1年半、300〜500戸規模の大型物件だと2年は要する。それだけに素地価格の急騰を受けた物件が市場に出回るのは年内には2割程度、全体が出そろうのは来年の夏ごろと見ている。
むしろ販売面に大きな影響をもたらすのは当面、金利の上昇だろう。景気回復に伴って日銀のゼロ金利解除が確実視されているが、もし実施されれば、現在、各金融機関が行っている住宅ローン金利優遇キャンペーンはたちどころに廃止されるだろうし、当然のことながら住宅ローン金利は上昇する。住宅ローンの返済額は年収の25%程度がほぼ限度となっている中で、もし金利が1%上昇すると返済額は30%近くになってしまう。
ドーナツ現象と言って、ユーザーは経済力に見合った動きを見せることになるが、果たしてすべてが満足するだろうか。購入するエリアが変わるだけに、やはり売れ行きにブレーキがかかることは間違いないだろう。