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団塊世代男性のこれからの暮らし

鈴鹿規子
2006年09月29日

 前回は団塊世代男性を対象にしたIHクッキング教室から調理現場の声をレポートしたが、今回は同時に行った「リタイア後の暮らし方」についてのグループインタビュー調査の内容を報告したい。

 参加者は、団塊の世代の男性7人。今年商社を早期退職した1人を除いては、2007年以降にリタイアする予定の人々である。内訳は、会社役員3人、管理職3人、退職者1人の計7人。

 リタイアしたらどう暮らしたいかについては、1人を除いてまだバリバリの現役だけにリタイアするということがピンときていない様子。何らかの形で仕事は続けていきたい人が5人、リタイアを機に住むところも生活もすっかり変えたい人が1人。

 早期退職者は「リタイアがこんなに幸せなことだとは思っていなかった。生まれてこのかたこんなに充実した日々はなかったと言っても過言ではない。満員電車に乗らなくていいし、新聞や本を読む時間もたっぷりある。小旅行も含めると月に3回くらい妻と旅にでかけ、平日の空いている時間に映画や芝居を見に行く。家に居るときは時々キッチンにも立ち、下手ながら料理も作る。これも結構楽しい。義務でやる料理と楽しみながらやる料理では、できあがりの味が違うことも知った」。

 何らかの形で仕事を続けていきたい5人は、「仕事は続けて社会と関わっていたいが、今までは仕事が忙しすぎてできなかった何気ない日常の暮らしの中での妻との分かち合い、そういう時間がとれる範囲で仕事をしたい。今までしなくちゃいけないとわかっていてもできなかったことを埋め合わせるのがリタイア後のような気がする。少年野球のコーチもしてみたい。そうやって地域での人間関係も築いていきたい」

 「この前、ひまな時に新聞の求人欄を何気なく見ていたら、これならやってみたいと思う仕事が3つ見つかった。一つは東京の離島を回って、学校の先生たちにパソコンの使い方を教える仕事、二つ目はブランド・ブティックの店長、カリスマ店長ってカッコよさそう。三つ目は高級スーパーの駐車場係、これも合っているのではないかと思う。いずれにしろ今の仕事をリタイアしたからって、ずっと家にいるのはゴメン。すぐに飽きてしまうだろう」

 「在職中は会社の利益を上げることに専心しなければならないが、会社を卒業したら、自分の利益を考えずに人の喜ぶことをしたい。料理が好きだから腕を磨いて家族や友人に美味しいものを食べさせて、彼らの喜ぶ顔が見たい。何か新しいことに挑戦するのではなく、今までやってきたことの中から好きだったものを選び出して、それを掘り下げるのが僕のリタイア後だと思う」

 「仕事に追われる中であまり考えもせずに、いい加減な企画をいっぱい立ててきたが、リタイア後は、時間的ゆとりと今までの経験のすべてをつぎ込んで、丁寧な仕事をゆっくりしていきたい。音楽も好きだから、音楽も極めてみたい。」

 「我が家はソファーに寝転がって『おーい、お茶』というわがままな妻で、料理もほとんどしないので、家で食べる時はほとんど僕が作っている。それは『させられている』という苦痛はなく、むしろ楽しんでやっているが、四六時中『おーい、お茶』と言われるのも大変だから、しばらく仕事は続けるつもり。積極的に社会貢献ができるくらいの利益が上げられる会社経営を心がけている。」

 リタイア後は仕事をしたくないという人は1人だったが、彼は、リタイアを機に住む場所も生活も一新したいという。「還暦にして0に戻り、全く新しい暮らしを始めたい。仕事なんて考えたくない。すべてのしがらみから解き放たれ、すべてを真っ白にしたい。」とのこと。もう一生分の仕事はした、ということだろうか。

 60歳から平均寿命までは、男女ともにかなりの時間がある。モーレツサラリーマンだった団塊世代の男性にとっては、定年は生活が激変するターニングポイントである。妻にとっても「家は私の城」と思っていたのに、そこにでんと構える夫と共存しなければならない時間が増える。これからどんな暮らしをしようか、幸せな共存共栄のためのルールなどについて夫婦でよく話し合っておかないと、「こんなはずじゃなかった」第二弾になってしまう(第一弾は結婚)。

 定年後の暮らし方に、住まいは、間取りは、設備は合っているだろうか。家の住み心地は、幸せを大いに左右するということを今一度思い出して、住まいを見つめなおすことも定年前にしておくべきことの一つではないだろうか。


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