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耐震強度不足での都市再生機構・小野理事長の苦悩

阿部和義
2006年12月15日

 日本住宅公団が現在の独立行政法人の都市再生機構に変わった。51年経ったということもあり、いろいろなところにほころびが出ていた。昨年は50周年でいろいろな催しをするとともに、長年の垢(あか)を流すために機構の改革もした。その目玉は今、問題になっている耐震強度偽装などに対処するため「コンプライアンス行動規範」を作るとともに、小野邦久理事長を委員長にしたコンプライアンス委員会の設置だった。さらに環境問題に対処するため、「環境報告書」を始めて作った。

 小野理事長は、コンプライアンスの問題には職員に対して厳しく対処するよう注意している。ところが、小野理事長は冬柴国土交通相に2度にわたり厳重注意処分を受けた。さらに村山邦彦理事とともに2カ月の給与10%減という処分も受けた。

 処分の原因は、1988年から92年にかけて造った東京都八王子市内の46棟のマンションだった。2000年に大規模な手抜き工事が見つかり問題になった。このマンションの欠陥問題が明らかになり、住民が02年の春に構造計算書の提示を求めたところ、機構は「紛失した」と回答した。しかし、問題が大きくなり、機構は再計算書を出したが、住民が「これはおかしい」と指摘すると、03年3月に再再計算書を提出した。

 03年6月には、手抜き工事で当時の伴襄総裁が文書で厳重注意処分を受けた。このあとで、姉歯元建築士の耐震強度偽装事件が起き、住民が構造計算書の提示を求めたところ、大量紛失が判明した。機構は国に準ずる機関として建築確認の手続を免除されている。建築基準法に従った建物を建てるというのが当然の前提だからである。

 06年5月末に住民の依頼を受け、専門機関が強度不足を指摘しても「問題は無いはずだ」と突っぱねた。ところが、11月29日に機構は内部調査結果を発表し、構造計算書に誤りがあり、修正して別な計算書を作ったことを正式に認めた。

 内部調査によると、このマンションは設計段階から強度が不足しており、再計算書、再再計算書にも5種類の誤りがあった。このマンションについては半数近い20棟を建て直した。この費用は全部、機構の負担であり既に330億円が遣われた。最終的的には約600億円になると見積もられている。

 これだけの無駄使いをした以上、2度の注意処分も当然といえるが、05年10月に就任した小野理事長としては、前任者がどのようにしてこの問題に取り組んだか、という気持ちがあるだろう。稗田昭人カスタマーコミュニケーション室長は「いろいろ問題があったが、内部調査して問題点を出した。後は住民とどのように話し合っていくかである」と話している。まだまだ解決には程遠いかもしれない。小野理事長の苦悩は続きそうである。


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