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団塊世代のリフォームが始まる

鈴鹿規子
2007年01月26日

 団塊世代が、定年を前にリフォーム計画を本格化させている。私の周囲だけでも3人からリフォームするという話しを聞いた。2軒が戸建て、1軒がマンションである。いずれもこれが最後の大規模リフォームだろうということで、夫婦ともども大変真剣に取り組んでいる。今まで家のことは妻任せだった夫たちも今回ばかりは大真面目だ。子どもも育ち、夫婦共通の話題も少なくなっていたが、リフォーム計画をきっかけに会話が随分活発になったようだ。

 「どこをどうリフォームするかを話し合っているうちに、私たちお互いにこんなにも相手のことを知らなかったことに、今更ながら気づいた。相手の望んでいることに今まであまりにも無関心だったかも」「これから仲良く暮らしていくためには、とことん話し合わなきゃだめだということがわかった。間取りをどうするかより、これからどう暮らすかが大事なのね」「子どもという緩衝剤がいなくなって、改めて夫と真正面から向かい合ってみると、ほとんど知らない人みたい。これから朝から晩まで顔を突き合わせているのかと思うと気詰まり」など主婦側からは内緒話を聞いた。

 「家の中全部が妻の居場所のようで居心地が悪い。ストレスのない棲み分けを考えたい」「二人でいる時間も大切かもしれないが、一人になれる場所も確保しないと辛そう」「『つかず離れず』が最もうまくいくと思う。夫婦といえどもプライバシーは大切」と夫たちも真剣に考えている。

 そこでひらめいたのが広場を取り囲むように家が建てられたヨーロッパの村。リビング・ダイニング・キッチンを共用の広場と位置づけ、夫・妻は広場に面してそれぞれ私室を持つ。部屋ではあるが各自の家ととらえ、その中はベッドルーム、シャワー・洗面・トイレ、たっぷりの収納で構成する。書斎は、共用の場所にあってもいいだろう。村の広場の一角に建つ図書館という位置づけで。バスタブのあるお風呂も銭湯のように広場から行く場所に置いて共同で使用する。

 リビング・ダイニング・キッチンを公共の広場と表現するにはわけがある。自分の家の中(部屋)ではどんな格好をしていてもよいが、公共の場に出るにはそれなりの身づくろいが必要である。その気遣いはしたいし、相手にもしてもらいたいという気持ちが込められている。妻はノーメイクにザンバラ髪のまま広場には出ないし、夫もパジャマのままで家中どこでも歩き回ることはしない、その方がお互いに魅力的だし、メリハリのある暮らし方ができるのではないかという提案である。

 リビング・ダイニング・キッチンは、広場なのだから思い切り開放的に(それには充分な収納が必要だが)広くとる。広いデッキをつけてその中にお風呂場を配置する。会社から帰って夜遅く入浴するというタイムスケジュールから開放されるのだから、日の光を楽しみながら朝風呂、昼風呂を楽しみたい。

 3度の食事の支度・後片付けも楽しく力を合わせてできるよう対面式かアイランド型にする。たとえ夫が料理をしなくても、言葉を交わしたり同じテレビ番組を見ながら調理をすれば、台所仕事が孤独な作業ではなく、明るく楽しいものになる。

 年をとると年々物忘れが上手になる。出しやすく・しまいやすい収納にするのはもちろんのこと、ひと目で見える収納の工夫が大事である。棚の奥行きは浅く(奥にしまい込むと二度と出てこない)する。季節外の布団の収納以外は押入れの深さはいらない。収納の扉はガラスにしたいくらいだが、見栄えが悪いので奥行きを浅くして、扉を開ければ一目でわかるようにしておくことが、モノ探しに時間を浪費しないコツだ。

 夫がずっと家にいるようになると、友人を家に呼びにくいという主婦の声もよく聞く。そんな時も夫がくつろいでいられる自室があるとお互いに気兼ねをしないですむ。夫も広場の井戸端会議に参加したければ公共の場所に出る身づくろいをして出てくればいい。

 お互いの自室にシャワーやトイレがあれば、住人が減った時に下宿として貸すことも容易だ。

 3組のうち2組は夫婦別寝室にしたいと言うが、残りの1組は別寝室には抵抗があるという。その代わり、一人になれる部屋かコーナーをそれぞれに作る計画だ。子ども室に手を入れて夫は書斎にし、妻は趣味の道具を全部収納でき、途中で手を止めてもそのまま散らかしっぱなしにできる、誰にも邪魔されない部屋がほしいという。

 いずれにしても、これから先二人でどんな暮らし方をしていきたいか夫婦でじっくり話し合った上で、リフォームの形を決めることが肝要である。お互いに今まで気づかなかった相手の本音を知るチャンスでもある。


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