現在位置:asahi.com>住まい>住まいのお役立ちコラム> 記事 PR 注目マンション情報家族の行方、住まいの行方2007年07月06日 染谷正弘 いま、日本の社会は、少子・高齢化、人口減少へとまっしぐらに突き進んでいる。これからの日本の家族は、そして住まいは、どうなっていくのだろう。僕は、このコラムで、そんなことを考え、「ママ司令塔プラン」や「パートナーズ・スイートプラン」など具体的な住まいの提案をしてきた。ここで、あらためて整理しておきたい。
最新の国勢調査によれば、家族は少人数化へ、そして高齢化へと確実に向かっている。親子で3人以上の家族をファミリー、夫婦2人暮らしをカップル、単身者をシングルと呼ぶことにすれば、ファミリーはいまもなお日本の家族の主流であることに変わりはない。でも、いまや東京の平均家族数は約2.1人になり、さらに減少傾向にある。家族の主流は、ファミリーからカップルへと移行しつつあると言っていい。 その一番の要因は、子どもの家族と一緒に暮らしたがらないシニア層が増えているからだと推測している。どうせ一緒に暮らすのなら子どもの家族よりまだ犬や猫のペットの方が気楽でいい、それが彼らの本音のように思えてならない。いまの空前のペットブームは、そうした意識の反映ではないだろうか。実際に、ペットは子ども化し、子どもはペット化している。 シニア層のそうした意識を醸成しているのが、いつの間にか終の棲家(すみか)への希求が消えたことだろう。人生の最終目標は、終の棲家を手に入れ、そこで人生を終えることだった。でも、孤独死以外、自分の家で死を迎えることはもはやあり得ない。老いたら老人福祉施設に入り、病院で死を迎えるのが一般的になり、終の棲家は不要になってしまった。 一方で、ファミリーの意識もライフスタイルも、大きく変化しつつある。家族全員で一緒に過ごす時間が極端に少なくなっているのが、現代ファミリーの特徴といえよう。同じひとつの屋根の下に暮らしながらも、家族それぞれがまるでシングルライフをしているかのようだ。自分自身の生活をふり返り、家族全員での食事は1週間のうち何回あるかを数えてみてほしい。「ファミリーのシングルライフ化」という現代家族像が見えてくるはずだ。だからといって、家族の絆(きずな)が希薄になったということではないだろう。 家に1人でいても、いつでも1人で食事ができ、お風呂にも入れ、寝ることもできる。そうしたファミリーのシングルライフ化を促進しているのが、最新の住宅設備機器や家電製品だ。それに、携帯電話やEメールなどのコミュニケーションツールの進歩が、ますます家族を一緒にいなくてもいい状況に向かわせている。 家族であっても、夫も妻も子どももそれぞれが違うライフスタイルで日々を過ごしている。そうした現代家族の生活拠点として家はあり、それを支えているのはやはり家族の絆だろう。現代家族にとって住まいは、もはや「家族団欒(だんらん)の場」ではなく「家族の絆の象徴」として存在意義はある、そう思えてならない。 家族とはいえライフスタイルの違う者が心地よく同居する住まいは、どうあったらいいのだろう。そのヒントを、住まい手のニーズを搭載した不動産広告に垣間見ることができる。広告表現の違いはあれ、そのほとんどは、利便性と安全性と快適性を最優先した合理的な住まいを一貫して訴求している。 合理的な住まいを追求していくと、実は集合住宅(マンション)になる。だからだろう、いま首都圏で、戸建て住宅から分譲マンションへと住まいを買い替えるシニア層が増えている。それも、都心に近く、駅に近いメガマンションと呼ばれる300戸以上の大規模マンションに人気が集中しているという。 そもそもマンションは、集合して住まうことのメリットを最大限生かし、共有部をみんなで利用し、自分はコンパクトな専有住戸だけを管理していればいいところにその魅力がある。あとは管理人さんに任せておけばいい。やはり、合理的なのである。 その専有住戸プランは、部屋数の多さより、広々とゆったりした居住空間が好まれる傾向にあるようだ。家族数が少ないのだから当然だろう。それに、フラットでゆとりある居住空間は、実はバリアフリーに限りなく近づいていく。 特にメガマンションは、そのスケールメリットを生かした共用施設の充実ぶりが大きな魅力のひとつになっている。たとえば、カフェ、キッチンスタジオ、クラフトルーム、カラオケルーム、ミニ体育館などなど。そこを舞台に、様々なイベントやサークル活動が行われていて、世代間を超え、血縁を超えた新しいコミュニティが形成される可能性を秘めている。 地域コミュニティが崩壊したといわれて久しい。それが原因で、悲しい事件がたくさん起きている。21世紀になって登場した新しい住まいの形であるメガマンションは、21世紀ならではの新しいコミュニティ・モデルになるだろうと僕は考えている。 家族もひとつのコミュニティだし、マンションもひとつのコミュニティだ。戸建て住宅団地だってそうだろう。住まいをデザインするとはコミュニティをデザインすること、コミュニティをデザインするとは人と人との関係をデザインすること。これからの住まいづくりは、そうしたまなざしがますます不可欠になるだろうと思う。 お役立ちコラム バックナンバー
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