現在位置:asahi.com>住まい>住まいのお役立ちコラム> 記事 PR 注目マンション情報メガマンションのコミュニティー研究2007年11月02日 染谷正弘 「メガマンション」という言葉も、不動産用語として最近ようやく定着してきたようだ。分譲マンションで、およそ300戸を超える大規模マンションをそう呼んでいる。
21世紀に入り、巨大な工場跡地の再利用や駅前再開発により、高層、超高層のメガマンションが数多く登場するようになった。タワーマンションもそのひとつである。メガマンションは、もはや建築というより数千人が一緒に住まうひとつの小さな「街」といっていい。 住宅史的に見れば、21世紀初頭の日本に登場したまったく新しい集住形式であり、かつての郊外ニュータウンの集合住宅群、いわゆる「団地」とは、その成り立ちも様相も随分と違うことをきちんと認識しておくべきだろう。 メガマンションの特徴は、そのスケールメリットを最大限に生かした共用施設の充実ぶりにある。住まい手のセキュリティーや利便性をサポートし、マンションライフを豊かにしてくれるのが、それら共用施設群である。 また、メガマンションは、既存の街なかにこつぜんと新しい街が出現するようなもの、そう言ってもいいかもしれない。街の景観を変えてしまうほどに巨大な建築でもある。そして、建築が竣工するやいなや、見ず知らずの数千人の人たちが、いきなり隣人同士となり一緒に暮らし始める。それもメガマンションの特徴のひとつだろう。 集合住宅を設計にあたって、住まいという箱のデザインがハード提案だとすれば、その箱の中で繰り広げられる人と人との関係構築支援、つまりコミュニティー形成支援をソフト提案と言うことができよう。僕は、そのハード提案とソフト提案を同時に実現していく試みを「コミュニティー・デザイン」(08/03日の本コラム参照)と呼び、数多くのメガマンション計画で実践してきた。 そのコミュニティー・デザインの有効性を確認すべく、いま僕は、メガマンションのコミュニティー研究に取り組んでいる。実際は、文化女子大学・住環境学科の先生たちの主導で、住民インタビューやアンケート調査が進められているのだが、興味深い調査・研究結果が得られつつある。 その調査・研究対象としたのが、千葉県の我孫子市にある総戸数851世帯のメガマンション「シティア」だ。2003年夏に竣工、入居を開始している。シティアの敷地内には、建築も庭園も含め様々なたくさんの共用施設がある。ホール(小体育館)、キッチンスタジオ、クラフトルーム、オープンカフェ、ツリーハウスのある小さな自然林、ジャブジャブ池等々、数え上げればきりがない。 それら共用施設を舞台に、様々なサークル活動、カルチャースクール、イベントが繰り広げられている。サークルは30グループを超えるというから、コミュニティー活動がとても盛んなメガマンションと言っていいだろう。 シティアでのコミュニティー・デザインの仕掛けのひとつに、コミュニティー・サポーターの存在がある。入居後の1年間、住民たちのサークル活動、カルチャースクール、イベントなどのお手伝いをするのが、コミュニティー・サポーターの役割だ。その真の目的は、2年目から住人たちが自主的にコミュニティー活動運営をしていけるように指導するところにある。 そこで、シティアでのアンケート調査を、入居後のちょうど1年後に行うことにし、実行している。そして、2回目のアンケート調査を、今年の2月に行った。それは、住民たちが自らコミュニティー活動の運営を始め、また入居して3年半の時を経て、調査のタイミングとしてはちょうどいい時期と思えることからだった。 こうして、住民やコミュニティー・サポーターにインタビューし、アンケート調査もし、シティアのコミュニティー形成の推移を見守り、見えてきたことは数多くある。 たとえば、コミュニティー活動に関心のある住人は全体の約20%、まったく関心の無い住人も約20%、残りの60%は気が向けば参加するという割合が見えきた。それには、マンション販売期の広告内容が少なからず反映されていることもわかった。 つまり、シティアはコミュニティー活動を重視しているマンションであることが、広告表現や販売センターの展示内容によって住民にきちんと伝わっていて、広告はライフスタイルの啓蒙活動にもなっていることが実証されたといってもいい。分譲マンション広告が住まいのイメージ形成に深く関わっていて、その重要性を改めて認識させられた。 シティアのたくさんある共用施設のなかでも、何にでも使えるホール(体育館)がとても人気があって、ダンスやヨガなどアクティブなサークル活動が盛んに行われていることも判明。また、若いファミリー層をターゲットにしたマンション計画ゆえに、高齢者の居場所が少ないという意見もあった。 その一方、うれしいことに高齢者と若いお母さんや子供たちとの血縁を超えた世代間交流が生まれつつあることも判り、僕としてはコミュニティー・デザインの有効性を確認しつつある。 いま、また、埼玉県川口市に昨年竣工したメガマンション「リボンシティ」のコミュニティー形成の調査・研究を始めようとしている。シティアとほぼ同じ規模で総戸数861世帯あり、もちろんコミュニティー・デザインも実践されている。こうして、メガマンションのコミュニティー研究を続けていくことが、21世紀の新しいコミュニティー像のひとつのありかたを浮き彫りにしていくだろうと考えている。 |