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「住まいのお役立ちコラム」

小正月(女正月)

2008年01月25日

鈴鹿規子さん

 年末年始行事がカジュアル化し、主婦にかかる家事負担が大幅に減少したせいか、小正月のありがたみをほとんど感じることもなく、「女正月」という言葉も死語になりつつある。

 住まいの間取り・仕様・設備の変化、働く主婦の増加など生活のありようの変化に伴い、年末の大掃除は大幅に簡略化。畳干し、障子・襖の張替え、すす払いなど、年末ならではの風景をついぞ見かけなくなって久しい。これは、住まいと住まい方が変わったことに伴い、やる必要がなくなったことに加えて「何も真冬の寒い時にそんなことしなくても、季節のよい時に大掃除した方が楽」という、極めて合理的な考えからきているのだろう。今年1年の垢やすすを払って、すがすがしく新しい年を迎えようという精神性より、合理性を重んじる考え方が主流になってきているせいであろう。

 おせちも、料理屋や食品会社が作ってくれるので、何品かだけ手づくりして済ませてしまうことが一般的になった。12月に入るとデパ地下やスーパーはもちろん、住宅街のフレンチレストランにいたるまで、おせち料理の予約を取っている。家族が小規模になったせいもあり、材料を色々買って余らせるより、重詰めのおせちを買ったほうが手も掛からず経済的。また、「大晦日のギリギリまでおせち作りに追われるのはいや、家族とゆっくり除夜の鐘を聞きたい」という主婦の声もおせちの外注化に拍車をかけているのだろう。

 また、昔はすべてのお店が三が日は休業だったので、買い物のし忘れが許されず、暮れの買い物に緊張感があった。今は元旦から開いているお店があるので、いつもの晦日と変わらない。

 年始まわりという習慣も減っている。一昔前までは、お正月には何組ものお客様が見えて、おとそ・おせちを出しておもてなしをしたものだが、最近は来客があってもごく身近な人に限られ、気張っておもてなしをしなくても済むようになった。

「年始のご挨拶を受けるのが面倒でホテルでお正月を過ごす」という流行が30〜40年前から始まった。年始の接客という面でも主婦は楽ができるようになってきている。

 年末年始から楽をしている今の主婦には「女正月」という休息は不要であり、習慣として廃れていくのは当然であろう。年末の大掃除・餅つきに始まり、三が日の接客、七草粥、鏡開きなどと続く行事を済ませて、やっと一息つけた昔の主婦には女正月は必要な休息の時間だった。この期間、家事一切を男性に任せて、女性は楽をするという風習が残っている地方もあるようだ。そこではきっと昔ながらの年末年始の風物詩が繰り広げられているに違いない。

 お正月の街に出て感じるのは、行事のカジュアル化だけでなく、服装も雰囲気もカジュアル化していることである。お正月には新品の下着を身に付け、その上に晴れ着を着て、かしこまって新年を祝ったものだが、今の街はカジュアルウェアで溢れ、新春を祝うというよりは長い連休を呑気に楽しんでいるという風情である。

 形にこだわらない良さもあるが、様式美を失ってしまうということは、文化を失うということになりはしないか。住まいも年々カジュアル化しており、同時に外国もどきが幅をきかせ、日本の気候風土と歴史を背景にした様式美を失いつつあるなあと、一抹の寂しさを感じた年末年始であった。


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