2008年6月6日
分譲マンション市場の直近データは市況悪化を表す記録的な数字が並んでいるが、戸建て注文住宅分野でも景気の先行き不安による購入意欲の低下に加え、資材価格の高騰など、長期停滞期にある市場の活性化にとって逆風が強まっている。
2007年度の新設住宅着工戸数は改正建築基準法によって確認申請が厳格化されるなどしたため40年ぶりに110万戸を割った。今年度はその反動から120万戸台に回復するとみられていたが、世界的な景気後退局面をむかえて、今では110万戸半ばに達すれば良いほうとの見方が大勢を占めている。住宅生産者で組織する(社)住宅生産団体連合会による直近の「経営者の住宅景況感調査」でも、2008年度の住宅着工見通しは112.7万戸と年初の見方より後退している。
住宅購入を検討する消費者心理は景気などの外部環境に大きく左右される。戸建て住宅の改正建築基準法による混乱は収束しつつあるが、政治の混迷や米国のサブプライムローン問題、原油高・資材価格の高騰といったように、これだけ悪い材料が出てくれば「慌てて住宅を購入することはない」と考えるほうがむしろ自然の成り行きだろう。主要住宅各社の今年度業績予想でもコア事業である住宅事業は軒並み低迷するとみており、戸数の拡大よりも工場の再編や営業マンの配置転換など、収益構造の改善を急ぐ考えである。
新設の住宅着工戸数が大きく落ち込む中で、大手住宅メーカーが主力とするプレハブ住宅のシェア(全住宅に占める割合)は8年ぶりに前年度を上回った。2007年度のプレハブ着工戸数は14万7000戸と前年度比で8.1%減少したが、全住宅に占めるシェアは12.4%から14.2%と逆に1.8ポイント増加した。全体の着工が落ち込んだための相対比較だが、ここに大手住宅メーカーの成長戦略が見て取れる。「国内の住宅市場は縮小していくが、シェアを伸ばすことで数はまだまだ追える」(積水ハウス・和田勇会長)からである。
住宅メーカーは7月に開催される北海道洞爺湖サミットなどを通じて省エネ技術に対する消費者の関心が高まることが予想されることから、CO2排出量削減を軸にした新商品の発表を相次いでいる。こうした省エネ効果の高い住宅は環境保護の流れにも乗って顧客からもますます支持されていくとみているからだ。
いずれにしても、逆風の住宅業界にあって、活路を見いだしていくには価値の下がりにくい高品質の住宅を提供し続けるということだが、その点では福田首相の肝いりで今国会の成立を目指す「長期優良住宅普及促進法案」(いわゆる200年住宅法案)は耐用性の高い住宅を税制面などで優遇するだけに追い風の一つでもある。