2008年7月4日
首都圏マンションの新規供給戸数が15年ぶりに4万戸台となることが現実味を帯びてきた。市場は販売価格の高騰→売れ行き不振→販売在庫の増加→新規供給戸数の抑制といういわば負のスパイラルに陥っており、先行指標のひとつでもある新設住宅着工戸数も減少したままである。
マンションの大量供給が始まったのは1994年からで、それ以前の倍近い8万戸前後の供給が昨年まで14年間にわたって続いた。こうした大量供給時代が終焉を迎えたのは、昨年6月に施行された建築確認を厳しくした改正建築基準法の影響は薄れてきたものの、販売価格の高騰に加えて、景気回復の足踏みや資材価格の高騰、住宅ローン金利の上昇など外部環境の悪化が拍車をかけたためである。
今年に入ってからの供給戸数は前年同月比で毎月2〜3割前後減少しており、1―5月期では1万7543戸と前年同期比で22.3%減少している。昨年の首都圏の供給戸数は6万1021戸だから、単純に前年比2割減で計算しても今年は5万戸に到達しない。
もうひとつ注目しなければならない数字は販売在庫の増加である。昨年末に5年ぶりに1万戸の大台を突破した販売在庫は今年の5月末時点でも1万482戸と依然として高水準となっている。販売在庫のうち、完成在庫は5741戸と全在庫に占める割合は54.8%と5割を上回ったまま推移しており、これがマンションディベロッパーの利益率の低下や供給抑制の大きな要因になっている。
当然のことながら、市況を本格回復させるにはこうした販売在庫の圧縮が大前提だが、そのためには希少性の高い一部の物件を除いて販売価格の大幅な値下げに踏み切らざるを得ないだろう。今年5月の千葉県の契約率は一挙に84.3%に回復したが、これは販売価格、販売単価ともに前年同月比で二ケタ下落した結果によるもので、「値下げ効果」が出た格好だ。
今年3月期の決算を見ると、大手マンションディベロッパーの棚卸し資産は軒並み二ケタ増加している。棚卸し資産とは完成在庫と販売用(建築中)の仕掛かり不動産などで構成されており、棚卸し資産の増加は利益率低下の大きな要因となる。これまでは価格が回復するまで、この完成在庫を塩漬けにしておくことも可能だったが、2009年3月期からは棚卸し資産の会計基準が厳格化され、時価より値下がりすると評価減を計上する必要が生じてくる。
東急住生活研究所がまとめた首都圏と近畿圏の25歳以上の男女を対象とした「住宅購入計画に関する意識調査」によると、住宅購入は「しばらく様子を見る」人が増えており、検討を再開するための理由としては「よい物件があったら」と「価格が下がったら」が上位でほぼ同数になっている。今回の需要低迷は価格の高騰が大きな理由になっているだけに、各マンションディベロッパーも抱え込んだ在庫を早期に減らすための決断を迫られている。