2008年7月11日
東京をどのようにしていくか、というテーマのパネルディスカッションが6月24日、経団連会館で開かれた。「グローバルフロント東京への挑戦」というタイトルで、「都心の新しい街づくりを考える会」(理事長・福川伸次機械産業記念事業財団会長)が主催した。
最初に竹中平蔵慶応大学教授が基調講演。「今や東京は世界の金融都市ランキングで、ロンドンはもちろんのことニューヨーク、香港、シンガポールに抜かれて9位になり下がってしまった。株価総額でもトップ100のうち日本は8社で、米国の44社だけでなく、英国の11社にも負けています。金融はすべての産業の血液であり、東京はこの辺から立て直さなくてはいけない」と指摘した。引き続いて竹中教授は「フィナンシャル・タイムズ紙がJパワーの株問題を取り上げて『投資をクローズした日本』と一面トップで書いている。こうした内向きな政策では東京がますます世界から置いていかれてしまう」と述べた。
さらに竹中教授は「私の試論ですが」と前置きした上で三つの提案を披露。一つは羽田空港を2倍に拡張して24時間空港にする。二つ目は税制改革をして法人税をヨーロッパ並みの30%に引き下げる。三つ目は東大を民営化して文部科学省から切り離す、とした。
竹中教授の提案の後に、市川宏雄・明治大教授が「東京の魅力創出の戦略」という発表をした。これは都心の新しい街づくりを考える会が検討してきたものである。(1)開かれた国際的な都市にする(2)新しい日本文化を創造する(3)新しい時代に打ち勝つ産業を育てると提案した。この提案には「災害リスクの顕在化」「環境制約の深刻化」「高齢化の進展」という課題があることも加えた。
このあとのパネルディスカッションでは、チャールズ・レイク在日米国商工会議所会頭が「アジアが力をつけてきている時に日本がアジアの中心にならなくてはおかしい。東京が金融都市の9番目というのは問題だ。その原因は英語の能力がモンゴルや北朝鮮並みと言われていることがあるのではないか?」と辛らつな発言をした。
仲篠亮子・ブルームバーグ在日副代表は「今の東京の状態では、アジアの本部を東京からシンガポールか香港に変えるという動きが出ている。日本の記者クラブに入れず、いろいろな運動をしてやっと入れた。こうした閉鎖性が問題です」と厳しい。
どのように東京を世界の都市にするかについて森稔・森ビル社長は「世界の企業が東京に集まるように磁場・磁力を作ることが必要です。ロンドンのウィンブルドン現象、スイスのダボス会議、芸術の街パリ、東京ディズニーランドのように磁場を作ることが必要です」と述べた。
景観法を作った国土交通省の石井喜三郎官房審議官(都市・地域整備局)は5月21日、都内での「新しい都市計画制度のあり方」の講演で「外国人を外国人と思わないで自然と生活できるような街にして初めて外国の企業も来ますし、日本の人たちもそことお付き合いをしていける。もっと外国人が来やすい環境、そういう街づくりをしていかなくてはいけないと思います」と述べた。さらに「東京の活性化の議論をすると『東京ばっかり』という議論が起きます。私が留学した英国でもロンドンばっかりと言う議論があります。しかし、ロンドンの成長が回り回って地方を潤していくと説得している、と英国の担当者は話していました。どこの国にも内向きの問題があるんですが、それを排除してさらに世界都市としてがんばるという努力が世界の都市政策、都市づくりで行われている」と話した。
東京ばかりとか内向きの話はどこの国でもありそれを克服してこそ新しい街づくりが進むのだろう。