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東京都の条例に不動産業界は当惑気味

2008年8月8日

  • 筆者 阿部和義

 東京都は08年6月に「環境確保条例」の改正案を決めた。石原都知事は都内を走るディーゼル車の規制を始め、環境問題には積極的に対応してきた。環境庁長官を務めたことがあるので、この分野は得意とするのであろう。しかし、この条例案は不動産業界をはじめ、ビル業界にはきつい内容になっている。岩沙弘道・不動産協会理事長は「規制の対象が大きな規模の事業所に限られるなど問題も多い。これからもろもろのことを調整してゆく必要がある」と不満を漏らしている。

 不動産業界は環境対策のために、08年3月に「自社使用ビルの二酸化炭素の排出量を基準年(90年)よりも5%下回ることを目指す」という数字を出した。それまでは数字を出さない対策を打ち出していたが、それでは環境省が認めないので、京都議定書で決めた6%より低い数字を打ち出した。

 このように環境問題には前向きに取り組んで来た岩沙理事長が不安に思っている東京都の条例案は次のことを定めている。

 2年後からこの条例は実施される。大規模事業所に対して、二酸化炭素(CO2)の排出量の削減を義務付ける。排出量の削減を義務付けるのは政府に先駆けた制度であり、自治体としては初めてである。原油換算で年1500キロリットルの以上のエネルギーを使う施設が対象であり、デパート、テナントビル、ホテル、大学、工場など約1300社にのぼる。

 対象の事業所の05年〜07年度の平均排出量を20年度までに15%〜20%削減する。自前の努力で目標に達しない場合は、最高で50万円の罰金にするほか、都が仲介して不足分を買い取らせる仕組みも考える。さらに目標以上に減らしたほかの事業所から買い取って穴埋めできる排出量取引制度も組み入れる。

 この制度に対してビル事業者の集まりである「東京ビルヂング協会」(会長・高木丈太郎三菱地所相談役)は東京都の条例に困惑しながらも二酸化炭素の排出量の削減に自主的に取り組んでいる。その一環として6月には「中小ビル経営者ができる地球温暖化防止策」をまとめて発表した。ビルの玄関口に「CO2排出量掲示板」を設置して、そのビルが出しているCO2の排出量を数字で示している。既に6月からビルの玄関で見られる。

 東京都の条例はビルの事業者に排出量の削減を義務付けているが、ビルの入居者がこうした削減の意識がなければ目標は達成できない。この試みは入居者に対する温暖化対策の意識を高めるという狙いがある。これは大事業所でも応用できることである。

 大事業所のビルを所有している業者の集まりである不動産協会は、これから東京都と具体的な中身について協議してゆく。東京都だけでなく東京都千代田区も07年「地球温暖化対策条例」を作っている。こうした地方の自治体との協議によっては不動産会社の経営にも響きかねない。岩沙理事長の活躍に期待するビル事業者は多い。

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