2011年11月29日
狭いアパートの小さなキッチンには冷蔵庫、浴室には洗濯機と、一人ひとりが持っていなくても、だれかとシェアすればいいものを取り揃えていながら「狭い、狭い」と嘆くのはナンセンスと以前から思っていた。そんな私の思いを解決するのがシェアハウス。その一つを見せてもらった。
場所は、都営地下鉄大江戸線・つくばエクスプレスの「新御徒町駅」から徒歩3分。6階建ての古いビルは、賃貸オフィスにしたのでは採算が取れないし、従来の賃貸アパートにすると戸数が足りない。その点、シェアハウスなら、リビング、ダイニング、キッチン、浴室、洗面室、トイレなどを共用にするから、個室も十分に確保できる。あとは、住人さえ見つかれば利回りのよい賃貸物件になるという。
一昔前まで、よほど仲の良い友人を別にすれば、住まいを他人とシェアするという考え方は日本にはなかったような気がするが、アメリカ、カナダの学生や若者にとっては合理的な暮らし方として受け入れられていた。日本の若者もつかず離れずの距離を保ちながら人と関わっていけるように変わってきたと、案内してくださった方が聞かせてくれた。
彼らは、最低限のルール(人に迷惑をかけるような騒音を出さないなど、一般の賃貸借契約の禁止事項に書かれている程度)だけ決めて、その他は住人の自治に任せるのだそうだ。共用部分の掃除やゴミ出しの当番なども居住者たちが決めている。それで充分に清潔で美しいシェアハウスが保てるらしい。
見せていただいたのは、10月に内装が完成したばかりのシェアハウス(外周りは古いままほとんど手が加えられていない)。オープンから約1カ月で22戸のうち18戸が埋まっていた。家賃は部屋の向きや広さによって多少違い、5万3千円から6万7千円。5階の2部屋は、個室内にバス・トイレ・小さなキッチン付きの2人用・3人用になっていて、家賃も9万円、11万円とやや高い。
ユニークなのは、かつて資材倉庫だった1階を改修して、居住者が集うリビング・ダイニング・キッチンにしているところ。ガラスの引戸を開けると前の道路に対してフルオープンになる。真ん中に大きな調理台兼食卓があり、部屋の一角には独立した小テーブルもある。オープンな感じがとてもよい。外から見るとキッチンスタジオのようである。開け放して住人がパーティーでもしていると、通りを歩いている人が思わず引き寄せられてきそうな雰囲気である。
人は同じ食卓を囲み、同じものを食べると、心がほぐれ仲良くなるものだから、住人同士だけでなく地域の人も加わって、よいコミュニティーが育っていきそうな予感がした。
このダイニング・キッチンには、大型テレビ、大型冷蔵庫、オーブンレンジ、ホットプレート、コーヒーメーカー、ヌードルマシン、石釜ピザ&ロースター、その他さまざまな調理器具などが備え付けてあり、同じ階にお風呂が二つとトイレもある。このほか、4階の小ぶりなリビング・キッチンにも冷蔵庫をはじめ、テレビ、エアコン、家具が備え付けられている。
各階には、共用のシャワーブース、洗面室、洗濯機、トイレがあり、個室にはエアコンとパイプハンガーが取り付けられ、インターネットの配線も完備している。
シェアハウスの居住者は男女が混在している。男性だけでは汚くなりがちで、異性がいたほうが適度な緊張感があり規律が守られやすいためだ。でも、なぜかお洒落なシェアハウスをつくると、入居を希望するのは男性のほうが多いという。
これからは、菜園を楽しむシェアハウス、DIY好きが集るシェアハウス、ライブラリー・キッチンのあるシェアハウスなど、ソフトの充実したシェアハウスがあったら楽しいに違いない。