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雑貨クリエイター、池田栄里さん邸。窓の向こうには大パノラマが… |
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これが街を180度見渡せるデッキテラス。お子さんとバーベキューをすることもあるそう |
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テラス脇の小さな「ジャンク・ガーデン」 |
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帽子のシェイドがカワイイ! |
数年前までは庭などにこれっぽっちの興味もなかったのに、最近は気になってしかたがない。と言っても、ヨーロッパの趣味人のように庭の造形や植物に興味があるのではない。どんなに小さくても、荒れていても、たとえ花がなくてもいいから、空が見えて土のある空間が欲しいと思っているだけである。
先日、雑貨クリエイターの自宅兼アトリエを訪ねた。
築25年の古い一軒家を自分で改造しながら住んでいる。高台に3軒並ぶ住宅地の一番奥。白く塗装された小さな門扉は公道に面したところにある。そこから隣家をふたつ通り越し、玄関まで10メートルほど小径を歩く。
すると、8畳のテラスが目に飛び込む。デッキの向こうは、空。そして下方には湘南の街が広がる。高台のがけ側に建つその家は、広大な景色を楽しめるように、一番いい場所にテラスがあつらえられていた。
「テラスからのこの景色で、家を決めたようなものです。ひょいと見たら、みかんの木が1本植えられた裏庭もあって、それでキマリ! 住み手は私で3人目でした。家はぼろぼろだったけれど、自分で手を入れればいいやって思ったんです」
子どもの自転車やスケボーが玄関脇に立てかけてある。ウッドデッキは大工さんに頼んで新たに作ってもらった。ペイントは自分で。途中でギブアップしたまま、塗ってないところもある。
家の床にはジュータンが敷いてあったので、自分ではがした。歩くと、ぺこぺこと床が浮く個所がある。
「土台が腐っているのかもしれませんねえ」
ふふっと彼女は笑った。私もつられて笑ってしまった。
誰でも、ぴかぴかの新築の家やマンションへ見学にいったら、目を皿のようにして欠陥をチェックするのが普通だ。大金がかかっているのだから当然である。
でも、彼女だったら、と私は思う。家を探すとき、何十軒も物件を見てまわったと言うが、きっとビー玉を転がすようなテストはしていないだろう。もっと別の、彼女にしかわからないチェック項目、判断基準があったのではないか。
万が一、この家の床をビー玉がコロコロと転がったとしても、買っていたに違いないと勝手に想像する。この景色、庭こそ値千金と。現に、浮いている床は、「買う前からぺこぺこしていた」と言うのだから。
シロアリ、耐震性、強度、構造、広さ、間取り、予算……。特に中古住宅を買う際は、いろんなチェック項目が大切だが、結局は買う人の価値観次第。
きれいごとだろうが何だろうが、現実に、古さによる一切の不都合に目をつぶり、「庭で決めた」という人を前にすると、そう信じたくなる。メンテナンスの大変さを差し引いても、テラスの景色とミカンの木には、強力な魅力があった。