 料理とパソコン
2007年01月29日
お客様が来るのでちょっと凝った料理をしたい、なんていうときに必ず思うことがある。台所にパソコンがあればいいのに、と。
 通販で買って以来、愛用しているレシピスタンド。こう見えて10年選手の、我が家の台所便利グッズ
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元来、パソコンなどの機器が苦手だが、料理に関しては、こんなに便利なものはないと痛感している。
なにしろ、格段にレパートリーが広がった。ずぼらで手抜き家事専門の私が、梅干や味噌(みそ)を手作りしようとは想像もしていなかった。それもこれも、パソコンのおかげである。
「梅干 つくりかた」と打てば、瞬時に何百というサイトが検索できる。どれも、わかりやすい写真付き。画面という限られたスペースの中で表現するので、短い言葉で簡潔にまとめられている。進行を待ってはくれない料理番組、知りたい料理がすべては載っていない料理本より、はるかに完璧(かんぺき)に即座にコチラのオーダーに答えてくれる。パソコンの普及で、おそらく日本人の(いやパソコンを利用する国の人は皆)料理の腕は相対的にいくらかあがっているのではないかとさえ思う。
たとえばあるとき、大人数をお呼びすることになり、思いつきで「沖縄料理」をテーマにした。といっても詳しいわけでもなく、類する本も持ち合わせてなかったので早速検索。ものの10分で前菜からデザートまで献立は決まり、レシピも明示。たいして料理上手ではないのに、ほめられたので「よし次はイタリアンでいこう」なんてはりきってしまって今に至る。
好きなときに必要な料理レシピを検索できるし、ペーパーレスというのもいい。私がブックマークしているのは、食材別にレシピが500ほどのっているプロバイダーの料理サイトのみ。あとは、食材やシーンごとに検索している。
家庭料理をのせている個人のサイトのほうが、みじかな材料で我が家だけの味を伝えていて、おもしろいのでよく読む。料理にまつわる家族の思い出話などが添えられていると、そのエピソード付きでレシピを記憶してしまう。日本のどこかの見知らぬ人の思い出料理に親近感をもちながら、台所に立つ。そうして気づいたら私は、料理という家事の領域に敷居の高さを感じなくなっていった。凝った料理はみな難しいと思いこんでいたのだから、これは大きな進歩だ。
いまどきのモデルルームに行くと、家事のためのワークスペースがあり、アイロン台がセットされていたり、キッチン脇などにちゃんとパソコンを置くための電源付きデスクとイスがあったりする。そこまできちんとしていなくてもいいのだけれど、これから家の建設を考えている人は、キッチンの片隅にノートパソコンを置けるくらいのスペースをよぶんにとっておくといいかもしれない。
ただ、その半面、料理名を打ち込んで画面を見ながら作れるゲーム機に小さな抵抗を感じる自分、情報量からしたらパソコンの比に及ばないのに料理家の個性や写真の美しさにひかれてついつい買い足してしまう料理本好きの自分もいる。それがなくなったら何も作れなくなってしまうほど、電子の箱にたよってはいけないと肝に銘じている。
大平 一枝(おおだいら・かずえ)
長野県生まれ。女性誌や文芸誌、新聞等に、インテリア、独自のライフスタイルを持つ人物ルポを中心に執筆。夫、11歳、7歳の4人家族。
著書に、『見えなくても、きこえなくても。〜光と音をもたない妻と育んだ絆』(主婦と生活社)、『ジャンク・スタイル』(平凡社)、『世界でたったひとつのわが家』(講談社)『自分たちでマンションを建ててみた。〜下北沢コーポラティブハウス物語〜』(河出書房新社)、など。【編集または文の一部を担当したもの】『白洲正子の旅』『藤城清治の世界』『昔きものを買いに行く』(以上「別冊太陽」)、『lovehome』『loving children』(主婦と生活社)、『ラ・ヴァ・パピヨン』(講談社)。最新刊は、紙と人の心の絆を描いた「かみさま」(ポプラ社)。
ホームぺージ「暮らしの柄」 http://www.kurashi-no-gara.com/

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