現在位置:asahi.com>住まい>小さな家の生活日記> 記事

PR 住まいの最新情報

「小さな家の生活日記」

景品のワナ

2007年05月21日

 収納カウンセラーの近藤典子さんが、ポイントシールやスタンプカードには要注意であると、朝日新聞につづってらした。交換したお皿が本当に必要か、ものを持つルールを作ろうという内容だった。

写真葉山で見つけたそれはそれは粋なジャンク・ガーデン。カフェの庭です

 まったくその通り!と膝を打つ。交換したものが家庭の不要品になっていくこともあるという近藤さんの指摘に共感するとともに、私は別な意味でも、なるべくもらわないことと、かたく肝に銘じている。

 まず、財布がふくれあがるのが困る。「貯めればお得なんだもの」と軽い気持ちでいろんな店で1枚ずつカードを作っていたら、財布はあっというまにパンパンだ。

 シールはふくれないが、小銭入れの中で、角の折れたそれが硬貨にまぎれ、汚れてしまい、やがて捨てるはめになることが多い。財布からシールを入れ替えればいいのだが、ずぼらなのでその手間を惜しむ。

 買い物のときは店ごとに「スタンプカードどこだっけ」と、ごそごそカードケースを探すのもめんどうである。そのくせ貧乏性なものだから、レジの後ろが列になっているのに、なんとしてでも探し出そうと、焦りながらもやっきになる。

 そうまでして交換できるのが、中途半端なサイズの皿1枚や、200円、300円単位の日用品を5万円分買って500円の割引。あるいはお好み焼き10万円分食べて1枚サービスなんてカードも実際持っている。そんな気の遠くなるような期間を、ふくれあがった財布とつき合い続けるなら、いっそシールやスタンプはないほうがいい。

 景品の皿や500円のキャッシュバックを放棄すると、レジ前でカードを探すイライラや、ぱんぱんの財布や、財布の隅で汚れて結局捨てるハメになるシールにともなう、すべてのストレスを放棄できる。そう思えば、貧乏性の私でもさっぱりきっぱりと、「けっこうです」と断ることができるようになる。

 そして本当に実用的なサービス、たとえば電気量販店の大きな割引、買い物金額に合わせて年に2回クーポン券を送ってくる自然食品店(自動的にクーポンが送られるので、ふだんレシートのポイント数や換金日を気にしなくてもすむ)、提示するとすべての商品が5%割引きになるスポーツ用品店(息子のサッカーグッズにお得)など、生活に即したカードだけを厳選する。

 もらうかもらわないかは、使用頻度とイライラ期間と特典の三つのバランスではじきだす。

 景品と名の付くもので、うまく長く使い続けているものが我が家にはひとつもない。便利な景品もあるのだろうが、めぐりあったことがない。ものを増やさないコツは、第一に、自分の望むものだけを買うことである。「望んでなかったけど、あればうれしい」は「なくても大丈夫」と同じ。

 雑貨、洋服屋がひしめく商店街に住んでいるので、いろんな誘惑があるが、ここはひとつ自分に厳しく、と心かげている。

プロフィール

顔写真 大平 一枝(おおだいら・かずえ)

 長野県生まれ。女性誌や文芸誌、新聞等に、インテリア、独自のライフスタイルを持つ人物ルポを中心に執筆。夫、11歳、7歳の4人家族。

 著書に、『見えなくても、きこえなくても。〜光と音をもたない妻と育んだ絆』(主婦と生活社)、『ジャンク・スタイル』(平凡社)、『世界でたったひとつのわが家』(講談社)『自分たちでマンションを建ててみた。〜下北沢コーポラティブハウス物語〜』(河出書房新社)、など。【編集または文の一部を担当したもの】『白洲正子の旅』『藤城清治の世界』『昔きものを買いに行く』(以上「別冊太陽」)、『lovehome』『loving children』(主婦と生活社)、『ラ・ヴァ・パピヨン』(講談社)。最新刊は、紙と人の心の絆を描いた「かみさま」(ポプラ社)。

 ホームぺージ「暮らしの柄」 http://www.kurashi-no-gara.com/別ウインドウで開きます


このページのトップに戻る