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「小さな家の生活日記」

ゲームのこと

2007年11月19日

 クリスマスが近づくと、まったくゲームに興味のない私のような者でも、「ちょっと買ってみようかな」という気持ちが一瞬よぎるくらい、おもしろそうなゲームのCMが次々流れる。

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姫りんごをみかけたので買い求め、玄関に飾りました。花屋さんははやばやとクリスマスムードです

 わが家は大人はやらないが、ご多分にもれず、長男(小6)と長女(小2)はやる。妹は兄のお古を使っている。

 長男の時は、買うべきか買わないべきかずいぶん悩み、7歳になってからなどと年齢を待ったり、一日30分とルールを決めたり、試行錯誤をした。買って6年経った今は、悩んだ月日はなんだったんだろうと思うくらい見向きもしない。買った当初は、ゲーム機にくびっぴきだが、やがて飽きる。みんながそうとは限らないのかも知れないが、少なくともうちの長男をはじめ、彼の友達は今だれもゲームなどやらない。どの子もさんざん低学年の時にやってきて、十分満足しているように見える。野球や音楽など、それよりおもしろいことがたくさんあることを、もう彼らは知っているのだ。むしろ、6年になっても人の家でずっとゲームにかじりついているのは、家で禁止されてきた子なので皮肉なものだと思う。

 今年は、長男は塾でゲームをする時間がとれないが、彼に「受験終わったらゲームやりたい?」と聞いたら

「別にやりたいと思わないなー」

 と、言った。それよりも友達とボーリングやサッカーやプールに行きたいのだそうだ。けっきょく、子どもなんてそんなもの。体を動かす方が楽しいに決まっている。

 そんなわけで、娘には、時間制限はしているがゲームは禁止していない。日曜など見ていると、やるだけやると放り出して外に行ってしまう。

 死んでもボタンひとつで生き返るバーチャルな世界の価値観を刷り込まれたら怖いが、私は、やりたい気持ちをまったく理解しようとせずに、頭から禁じるのも、同じくらい怖いと思う。画面をのぞいてみると、本当におもしろくできているし、殺しあいばかりがゲームではない。あるとき、私よりずっと若いが、先にママになった友達が教えてくれた。

 「ゲームのことを知ろうともせずに、ハイ、約束の時間だから切りなさいって言うのは、子どもからしたら不満が残るだけ。それよりも、その場面が終わったら切りなさいって言うほうが、子どもはずっと素直に納得して自分からやめられるんだよ。自分が逆の立場なら、そう思うでしょう?」

 彼女自身もゲーム好きで、小さな頃から息子さんとよく競い合っている。ゲームという共通言語があるからだと思うが、思春期の息子さんともうんと会話が多いし、仲がいい。彼女の子育てを見ていると、親と子が一緒の目線で同じ時間を楽しむことの大切さを痛感する。ゲームがいい・悪いではない。子育てには、もっと別の次元の大事なことがあるような気がする。

 ゲームではなく、たとえば手作りの素敵な木のおもちゃを与えてきたとしても、与えるだけで親が別の方向を見て知らん顔をしていたら、意味がない。

 要はどれだけ子どもの心に寄り添えるか、だ。

 次々と仕掛けてくるゲームのCMに、ほとんど見向きもしない長男を見ながら、不意にしみじみとしてしまった。母親になると、そのときどきでいろんなジャッジをくださなければならない場面に遭遇するが、過ぎてみるとあっというまだなあ、と。

プロフィール

顔写真 大平 一枝(おおだいら・かずえ)

 長野県生まれ。女性誌や文芸誌、新聞等に、インテリア、独自のライフスタイルを持つ人物ルポを中心に執筆。夫、11歳、7歳の4人家族。

 著書に、『見えなくても、きこえなくても。〜光と音をもたない妻と育んだ絆』(主婦と生活社)、『ジャンク・スタイル』(平凡社)、『世界でたったひとつのわが家』(講談社)『自分たちでマンションを建ててみた。〜下北沢コーポラティブハウス物語〜』(河出書房新社)、『かみさま』(ポプラ社)など。【編集または文の一部を担当したもの】『白洲正子の旅』『藤城清治の世界』『昔きものを買いに行く』(以上「別冊太陽」)、『lovehome』『loving children』(主婦と生活社)、『ラ・ヴァ・パピヨン』(講談社)。最新刊は、『センス・オブ・ジャンク・スタイル』(風土社)。

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