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「小さな家の生活日記」

秋過ぎて思うこと。

2007年11月26日

 秋生まれなので、ひがみ半分で実感する。――今年も、秋が短かった。

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自宅2階の窓から見た秋空。「ママ、カメラ貸して!」と、先日息子が撮影。

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原宿にて。色づき始めた街路樹、落ち葉。11月中旬の風景。緑を抜けると、クリスマスの電飾が至る所にあった。

 温暖化の影響で、残暑が長引き、秋の到来が遅い。その分、天高く馬肥ゆる秋を長く楽しめるなと、内心うきうきしていると、あっというまに町はクリスマスの装いを始めてしまう。

 葉が色づき、空が澄み、米やくだものが実り、四季の中でも一番ゆったりとできる美しい季節のはずなのに、どうして町も人も、師走に向かってそんなに急ぐのだろう。子どもは、「今年のクリスマスは、サンタさん、なにくれるかなあ?」と、早々と妄想を始める。もっと秋を楽しみたいのに、消費の渦にどんどん巻き込まれていくようで、「まだ、のっからないぞ」と、内々で抗うのが精いっぱいだ。

 暦の上では冬だが、現実には、近所の銀杏がいまごろ色づいている。温暖化は由々しき問題だが、そのために紅葉が遅れ、霜月にもまだ紅葉や銀杏の葉が色づくのだとしたら、それはそれで堪能したいのだ。なのに、クリスマスソング。電飾飾り。コマーシャルの嵐。日本の四季のなかで、暑くも寒くもなく、始めでも終わりでもないこの美しい季節を、駆け足でとびこしてしまうには惜しすぎる。

 じつはこう書きつつ、「最近、秋が短くなってきたと思いませんか」と、人に言われて、「ああ、本当に」と初めて私は気づいた。

 そういえば、去年の忘年会第1号の連絡は10月の終わりに入って、たじろいだっけ。12月は、年末進行で仕事の締め切りも早まるうえ、二人の子どもがいると、それぞれに、いろんな団体のクリスマス会や忘年会の行事が入る。とにかくあわただしいことこのうえなく、秋が短いということさえ自分は気づかずにいた。

 「きのこやお芋も美味しいし、みんなもっと秋を楽しんだらいいのにね」と言ったその女性は、4人のお子さんを仕事をしながらひとりで育てている。私などより数倍忙しいだろうに、立ち止まって秋空を見上げることを忘れない。昨晩は月がきれいだった、道を歩いていたらこんな植物が咲いていた、お寿司やさんでこんな旬のネタがあったというようなことを、会うたびに幸せそうな表情で教えてくれる。

 季節を先取りする経済システムを嘆くだけではなく、自分の気持ちの有りようと向き合い、自分はこれからどう暮らしていきたいのか。そういうことをそろそろきちんと考えなければいけない年齢になったということかも知れない。本来、気持ちのありかた次第で、季節はいかようにも楽しめるはずなのだから。

プロフィール

顔写真 大平 一枝(おおだいら・かずえ)

 長野県生まれ。女性誌や文芸誌、新聞等に、インテリア、独自のライフスタイルを持つ人物ルポを中心に執筆。夫、11歳、7歳の4人家族。

 著書に、『見えなくても、きこえなくても。〜光と音をもたない妻と育んだ絆』(主婦と生活社)、『ジャンク・スタイル』(平凡社)、『世界でたったひとつのわが家』(講談社)『自分たちでマンションを建ててみた。〜下北沢コーポラティブハウス物語〜』(河出書房新社)、『かみさま』(ポプラ社)など。【編集または文の一部を担当したもの】『白洲正子の旅』『藤城清治の世界』『昔きものを買いに行く』(以上「別冊太陽」)、『lovehome』『loving children』(主婦と生活社)、『ラ・ヴァ・パピヨン』(講談社)。最新刊は、『センス・オブ・ジャンク・スタイル』(風土社)。

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