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「小さな家の生活日記」

ちゃぶ台七変化

2008年05月05日

 何度も言うが、ちゃぶ台ほど便利な家具はない。我が家の円形ちゃぶ台はちょっと大きめの直径120センチ。ふだんの食事も数人の来客時もこれひとつでまかなう。つめれば8人は座れる。子どもは10人でもOK。仕事の打ち合わせもちゃぶ台ですます。ピザ生地もこの上で作るし、小3の娘にとっては大事な勉強机でもある(自分の部屋の机は物置場と化している……)。

写真

大は小を兼ねる我が家のちゃぶ台。左上につり下がっているのはひょうたんスピーカーです。

 中1の息子は、いつからか勉強机が自分の城となり、ちゃぶ台から巣立って(?)いった。こうして、ひとりずつちゃぶ台から離れていき、子育ての忙しい時期にいろいろな用途に変身していたちゃぶ台は、最後に夫婦2人だけの食卓になるのだろうなあと思ったら少し寂しくも感じられる。

 数年前、ハワイに住む友だちの家に行って、なにげなくテーブルの数を数えたことがある。リビング、ダイニング、キッチン、娘2人の部屋にそれぞれ、広さに適したセンスのいいテーブルがコーディネートされていた。それ以外に、ソファの横にグラスを置くサイドテーブル、テレビの横に写真の額がいくつも並ぶかわいらしいミニテーブルがある。花瓶や照明スタンドが置かれたスタンドテーブルもあった。

 広い敷地に広い家。テーブルの数はかの国の住まいの文化で、少しも邪魔ではない。素敵なライトののったそれを見ると、ふっと私も欲しくなってしまうのだが、「いやいや」と自分に歯止めをかける。天井高の低い日本の住まいに脚のついたテーブルを持ち込むときは慎重にならなければ、と。

 民家園に復元された古民家などをみると、どこにも食卓がない。ちゃぶ台が普及し始めたのは大正時代で、それまでは大きな農家や商家では箱膳で食事をして、食べたら片付けていたという。箱膳とはポータブルで、機能的。日本の住まいは本当にどこまでもミニマムだ。食卓どころか、日本の家は、部屋そのものが寝室にも客間にも茶の間にも変身する。その柔軟性は、現代社会でもおおいに手本になる。

 必要最低限の物に囲まれて暮らしたら、さぞ身軽で快適だろうなあと思う。そのためには、ちゃぶ台のように一台で何役もこなす道具は必須。あと何十年も、ひとりで活躍してもらう予定だ。

プロフィール

顔写真 大平 一枝(おおだいら・かずえ)

 長野県生まれ。女性誌や文芸誌、新聞等に、インテリア、独自のライフスタイルを持つ人物ルポを中心に執筆。夫、12歳、8歳の4人家族。

 著書に、『見えなくても、きこえなくても。〜光と音をもたない妻と育んだ絆』(主婦と生活社)、『ジャンク・スタイル』(平凡社)、『世界でたったひとつのわが家』(講談社)『自分たちでマンションを建ててみた。〜下北沢コーポラティブハウス物語〜』(河出書房新社)、『かみさま』(ポプラ社)など。【編集または文の一部を担当したもの】『白洲正子の旅』『藤城清治の世界』『昔きものを買いに行く』(以上「別冊太陽」)、『lovehome』『loving children』(主婦と生活社)、『ラ・ヴァ・パピヨン』(講談社)。最新刊は、『センス・オブ・ジャンク・スタイル』『スピリッツ・オブ・ジャンク・スチル』『ジャンク・スタイル・キッチン』(風土社)の3部作。

 ホームぺージ「暮らしの柄」 http://www.kurashi-no-gara.com/別ウインドウで開きます


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