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2012年10月22日
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「小さな家の生活日記」

収納は暮らしながら足していく

文と写真:大平一枝

写真:コーポラティブハウスに住んでいた頃に撮った洗面所の流し台。わかりにくいが、下がすこんと空いている。ものが増えた今ならここに引き出しケースを入れたい。拡大コーポラティブハウスに住んでいた頃に撮った洗面所の流し台。わかりにくいが、下がすこんと空いている。ものが増えた今ならここに引き出しケースを入れたい。

 コーポラティブハウスを建てたときは、子どもが5歳と1歳だった。子どもが小さいうちは、足音で階下に気を使わなくてもすむ戸建てを借りようということで、入居6年目から一時的に離れているが、その間にもどんどんものが増え続けている。あれから12年。物量は間違いなく2〜3倍になった。

 もし、今、コーポラティブハウスを建てようとしたら、一番気にかけるところは収納だろう。だが、あのときは違った。なにをおいても、採光と通風だった。とにかく明るいリビング、風呂にも寝室にも書斎にも小窓があって風が抜ける家。リビングはとにかく広く。バカのひとつ覚えのように、そればかり気にして設計してもらった。

 通風と採光にばかり気をとられ、あとはすっきりシンプルにと願っていた私は、キッチンの吊り戸棚も、洗面所のシャンプードレッサーもやめた。すこーんと空けたおかげでハイハイする子どもが頭をぶつけることもなく、掃除機も隅々まで届いた。

 長男17歳、長女13歳の今は、そんな甘っちょろいことは言ってられない。ベッド、洋服、本、靴、自転車、ギターにドレッサー。それらが収まる場所を確保することが何より優先だ。でないと快適に住めない。

 つまり、12年前に自分が求めていた住まいの快適と、いまとは内容や質が違うのである。

 いま借りている家は120平方メートルで、約4畳のウォーク・イン・クローゼットと、約2畳の書庫がある。天袋のほか、洗面所やキッチンの壁面収納も豊富で、見た目以上に収納力がある。もし、若い頃にこの家に住んでいたらどうなっていただろう。スペースがあるだけものを増やし、突っ込んでいたのではないかと思う。そうしたら今頃、ものが入りきらず、住み替えるしかなくなっていたかもしれない。いや、狭いなら狭いなりにものを増やさずに暮らしていただろうか。今となっては正解はわからない。少なくとも、家族の年齢に比例して、より広い収納スペースが必要になるということだけは明確である。

 家を建てるときは、あれもこれもと欲張りがちだ。費用もかさむし、子どもの成長によってどれだけものが増えるか見通しが立てにくい(趣味やお稽古ごと、性格によっても物量は子どもによって異なる)。住んでみなければわからないことが沢山あるので、最初は必要最小限、物足りないくらいでスタート、10年、15年スパンで必要に応じて収納を足してはどうだろう。

 そのうち、子どもが自立すれば、荷物はぐっと減る。竣工から12年目ごろに1回、20年目くらいで2回目のプチリフォームをするくらいがちょうどよいかもしれない。

 今回は、住まいに求めるものは、家族の年齢やライフスタイルによって生き物のように変わるというお話である。

プロフィール

大平 一枝(おおだいら・かずえ)

長野県生まれ。女性誌や文芸誌、新聞等に、インテリア、独自のライフスタイルを持つ人物ルポを中心に執筆。夫、16歳、12歳の4人家族。

著書に『見えなくても、きこえなくても。〜光と音をもたない妻と育んだ絆』(主婦と生活社)、『ジャンク・スタイル』(平凡社)、『世界でたったひとつのわが家』(講談社)、『日曜日のアイデア帖〜ちょっと昔の暮らしで楽しむ12か月』(ワニブックス)『かみさま』(ポプラ社)『センス・オブ・ジャンク・スタイル』(チルチンびとの本)など。【編集または取材を担当したもの】『白洲正子の旅』『藤城清治の世界』、『昔きものを買いに行く』(以上「別冊太陽」)、『lovehome』(主婦と生活社)、『続 暮らしのヒント集』(暮しの手帖社)など。最新刊は『もう、ビニール傘は買わない。〜暮らしと自分を変える60の習慣〜』(平凡社)

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