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2012年11月5日
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「小さな家の生活日記」

インテリアのヒントは意外なところに

文と写真:大平一枝

写真:撮影スタジオの宙に浮くゴミ箱。拡大撮影スタジオの宙に浮くゴミ箱。

写真:  拡大  

 人の家に遊びに行ったり、取材で訪ねたりした折に、ついじろじろとぶしつけな視線を投げかけてしまう。参考になる場所のなかの変わり種は、マッサージ屋やエステサロンであると以前書いたが、仕事で行く撮影スタジオにもけっこうヒントがあるということに最近気づいた。

 まず、スタジオはどんな撮影にも対応できるように、なにもかもが可動式だ。カメラマンが機材を置くテーブルもゴミ箱も椅子もテーブルもかんたんに動かせて、すぐさま白い箱に戻る。

 この大きくも小さくも使えるというところに日本の住宅との共通性がある。ふだんの茶の間が客間にもなり、ひとつの空間を多様な目的で使えることと通じる。

 先日、あるスタジオで目に止まったのはゴミ箱だった。プラスチックの白い箱に穴をあけ、機材を置くワゴンの袖にひっかけている。もともと穴が空いているスタジオ用の計器かもしれない。

 いずれにせよ、家具に引っかければ床面積をとらずに、めざわりにならず、使い勝手がいい。キッチンや仕事場でも作業台にセットすればすぐ手の届くところで常にゴミが捨てられ、お菓子作りの時などに重宝しそうだ。脱衣所でも応用できる。

 まことに便利そうな宙に浮くゴミ箱なのである。

 我が家のゴミ箱はには定位置がある。木目調でインテリアにはなじんでいるものの、ひどく大きいので存在感がある。それだけに、宙に浮くゴミ箱のように可動式で目だたないけれど欲しいところにちゃんとある、というのは目から鱗だった。

 いきつけの美容室の照明もなかなか勉強になる。

「お客さまにはリラックスしてほしいので、インテリアを考えると黄色みを帯びた白熱灯にしたいのですが、髪の色を正確に見極めたいので蛍光灯を使うしかない。だから探しに探して、限りなく白熱の灯りに近い色味で、じつは蛍光灯というものを見つけたのです」 店長がそう教えてくれた。たしかにやわらかないい灯りだった。

 都心の雑居ビルにある人気のカフェでは、トイレの窓に感心したことがある。ビルが乱立したエリアで、窓を開けると目の前は隣のビルの壁。いくら店内が素敵なインテリアでも、トイレから見える風景がこれでは興ざめすると考えたのだろう。壁中に英字新聞やポスターのコラージュを張り、照明は手作りの和紙のシェイド。狭い空間に浮かぶやわらかな灯りにひきつけられ、窓の外へ目が向かないという仕掛けだった。しかも、窓枠を流木でふちどり、隣のビルのグレーの壁が流木のフレームにおさまって、まるで1枚の絵のように見える。うまいなあ、と思わずうなった。

 このように、スタジオや店舗などプロ仕様の空間は、住まいに応用できるアイディアの宝庫だ。好きなアパレルブランドの試着室やビストロのレジ周りなんていうのも、参考になるだろう。

 インテリアの教科書は雑誌やモデルルームだけではない。身近な場所にごろごろとある。そういう場所はじろじろと眺めてしまおう。見るだけはただなのだから。

プロフィール

大平 一枝(おおだいら・かずえ)

長野県生まれ。女性誌や文芸誌、新聞等に、インテリア、独自のライフスタイルを持つ人物ルポを中心に執筆。夫、16歳、12歳の4人家族。

著書に『見えなくても、きこえなくても。〜光と音をもたない妻と育んだ絆』(主婦と生活社)、『ジャンク・スタイル』(平凡社)、『世界でたったひとつのわが家』(講談社)、『日曜日のアイデア帖〜ちょっと昔の暮らしで楽しむ12か月』(ワニブックス)『かみさま』(ポプラ社)『センス・オブ・ジャンク・スタイル』(チルチンびとの本)など。【編集または取材を担当したもの】『白洲正子の旅』『藤城清治の世界』、『昔きものを買いに行く』(以上「別冊太陽」)、『lovehome』(主婦と生活社)、『続 暮らしのヒント集』(暮しの手帖社)など。最新刊は『もう、ビニール傘は買わない。〜暮らしと自分を変える60の習慣〜』(平凡社)

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