【竹田真志夫】伝統的な京都の町家を改装した宿泊施設が海外の富裕層の観光客に人気だ。行楽シーズン中は1人1泊2万円以上が相場で、1棟で10万円以上するものもあるが、にぎわっている。景気回復が遅れる中、旅行業界は海外の富裕層を新たなターゲットに定めている。
八坂神社や知恩院にほど近い京都市東山区の新門前通。古都の情緒が漂う祇園の一角に町家がたたずむ。のべ137平方メートルの2階建て。和室3室に高級な槙(まき)風呂、日本庭園を備える。
9月末から10月初めに米メリーランド州から京都観光に来て宿泊した建築家エイミー・ガードナーさん(53)は、「無駄なところがまったくない住宅だ」と感動した様子。米国防総省勤務の夫(50)が「日本の伝統建築に触れたい」とインターネットで見つけ、パリの友人夫妻を誘って4人で1週間借りた。
値段は、4人で1泊計6万7千円。食事は付かないが、周辺の老舗料理店の仕出しも頼める。桜と紅葉の時期は1泊11万7千円に上がるが、ガードナーさんは「高くても気にならない」。
この町家を仲介している会社「庵(いおり)」は現在、市内で12棟を家主から借り受ける。最も高い町家は鴨川沿いの川床付きの物件で、観光シーズンは8人で1泊計19万5千円。それでも客足が途絶えないという。
梶浦秀樹社長(56)は旧国鉄職員などを経て2003年に町家の提供を始めた。客の約半数は海外の富裕層で、アラブの王族やヨーロッパの貴族も泊まりに来たことがある。家主の側には、住みにくくなったためマンションなどに住んでいるものの、「愛着があって売りたくない」などの事情があるという。