景気低迷や会計制度変更などの影響で、都心のオフィスビルを売却する企業が増えてきている一方、最近ではこれらのオフィスビルを個人で購入するケースが増えてきているようです。
稼動中のオフィスビル購入を検討する際に注意するポイントのひとつは、現在の賃料水準です。購入時にどんなに良い条件でテナントが入っていても、未来永劫そのテナントが退去しないとは言いきれません。現在入居しているテナントはいつか退去するものと考えておくことです。したがって、現在の賃料水準が近隣の相場、購入物件の仕様から見て適正な水準にあるかどうかを見極める必要があります。仮に近隣の相場から見て高い賃料を取っている場合は、将来的には賃料水準が下がる危険性が高いものとして購入条件を判断する必要があります。
この他にも物件の権利関係、管理状況などを見極める必要がありますが、個人の方がこれら全ての要件を調査、検討することは大変難しいことです。専門の仲介業者などへ相談することをお勧めします。
不動産投資の利回りに関してはいくつかの考え方がありますが、最近の不動産マーケットにおける利回りは、「ネット利回り」といわれる指標を使うケースが多いようです。
ネット利回りとは、年間の賃料収入から一般経費を差引いた収入を購入金額で割った利回りのことをいいます。
また、年間賃料収入を購入金額で割った利回りを「グロス利回り」ということもあります。
ひとえに利回りといってもいくつかの考え方がありますので、注意が必要です。 なお、都心部で最近取引されているオフィスビルの「ネット利回り」は物件にもよりますが、6〜8%程度のケースが多いようです。
「六本木ヒルズ」をはじめとした大規模オフィスビルが2003年に集中的にオープンしオフィスビルの新規供給量が増大する一方、景気低迷の影響からテナントの需要が伸び悩み「需給バランスが大幅に崩れるのでは」との懸念がマーケットにあります。これを「2003年問題」と呼んでいます。
空室率に関しては、定期的に各種データが発表されていますが、今年に入ってからは総じて悪化傾向にあるようです。ただし、エリア・規模などによって傾向はまちまちです。2003年問題もさることながら、不動産投資にあたってはやはり、エリア毎、物件毎の見極めがポイントではないでしょうか。