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今週は日照権とマンション建設に迫ります
回答者 弁護士・田中峯子さん

 マンションを購入したところ、1年も経たないうちに、南側に14階建てのマンションが建つことになり、建築確認許可がおりたと知らされました。

 私のマンションの下階の半分が日照権を奪われて一日中真っ暗になります。こんな建築は許されるのでしょうか。

 南側にマンションが建つと、日照が大きく奪われる場合があります。

 日照権は、「土地建物の所有者・居住者がその場所において日照の利益を享受する権利」あるいは「建築物等による日照侵害から守る権利」などと定義されています。

 しかし、日照権は法律に規定されているわけではありません。日照妨害は生活利益の侵害に当りますので、民法709条に基づいて、不法行為を理由とする建築工事の差止や損害賠償請求が可能です。

 しかし全てが認められるのではなく、裁判例では、被害者の受ける不利益の程度が社会生活上我慢できる程度(受忍程度)を超えていると考えられる場合に認められています。

 それでは日照が一日中当らなければ、このマンションの建設工事の差止めが認められるのでしょうか。

 建築基準法には、「建物の高さの制限」や「北側斜線制限」等によって日照の保護が認められていますが、特に「日照規制」が昭和51年の改正によって定められました。

 しかし、残念ながら規制の対象となる地域は、住居系の住居専用地域、住居地域、近隣商業地域、準工業地域等で、商業地域や工業地域は規制地域ではありません。自分の住む場所にどんな規制がかかるかについては、各地の区役所、市役所で確認してください。

 そのため、最近、商業地域がさびれたり、工業地域に工場が閉鎖して空地ができると、その跡地に高いマンションが建てられて紛争が多発しています。

 今度マンションの建つ場所も商業地域でした。現在、契約も終了し、入居もしているのですが、もう契約解除ができないのでしょうか。

 契約する場合、分譲業者に南側の空地に建築の計画があるかどうかを聞き、分譲業者側が知っているにも拘らず、建たないなどと嘘を云った場合などは詐欺による取消や錯誤に基づく無効ということで、契約を白紙に戻すことができます。

 また、分譲業者側が積極的に嘘を云わなくても知っていて説明しなかった場合、売主の説明義務違反として、契約解除や損害賠償請求ができる場合もあります。

 残念ながら、分譲業者と交渉したのですが、隣地の空地に突如マンションの建設が決まったということで、分譲業者も知らなかったと云うのです。

 私は契約して入居してしまいましたが、遅れて契約した知人は、まだ手附金を支払っただけです。契約解除できますか。

 手附金だけ支払って残金全額を支払っていなかったり、まだ所有権の移転登記手続きを終了していなかったり、引渡しと云って鍵などを受領していない場合は、「手附流し」と云って手附金を捨てれば契約解除できます。不動産の売買には、このような場合もあるので、手附金はなるだけ小額にすることをお勧めします。

 それでは契約解除ができない私たちはどうすれば良いでしょうか。マンション建設反対の幕をはったり、看板を立てたりしていますが、工事が始まりそうです。

 日照規制の対象とならない地域なので、完全に工事を中止させることはできませんが、日照権が一日中奪われてしまうのですから、地方裁判所に「建築工事禁止の仮処分」を申立てることができます。それには新しく建つマンションによって阻害される日影図や、建築物の図面などを用意する必要があります。

 そして少しでも低層になるよう、一部分でも減らすよう「審尋」という裁判官の前での話し合いを通じて歩み寄りを求める方法があります。

 また、マンションの建築主側から被害を受ける人達に、補償金等の名目で金銭が支払われる場合もあります。

 かつてマンション建設に反対して、工事用のトラック等をスクラムを組んで止めた近隣の人達が建設業者から裁判を提起され、工事が遅滞したとして2000万円の損害賠償を請求され敗訴した事件があります。従って、合法的でない阻止手段はお勧めできません。






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