【質問】公道に面する歩行者用出入り口があり、マンションの住人以外の人も管理室前を通らず自由に出入り出来るので、防犯のためドアでふさいでしまおうという提案が理事会に出され、審議されました。これは共用部分の変更に当たりますか。
【答え】共用部分とは、代表的なものを挙げますと廊下,階段や建物の躯体(くたい)部分,その他敷地部分や配管類の付属物などをいいます。歩行者用出入り口の部分は共用部分に当たります。
したがって、共用部分の変更の手続き、つまり区分所有者集会で決議しなければなりません。
共用部分の変更の手続きは、2003(平成15)年6月1日から施行された区分所有法の改正により変更されました。
【質問】区分所有法はどのように変更されたのですか。
【答え】区分所有法第17条第1項は、改正前は次のように規定されていました。
『共用部分の変更(改良を目的とし、かつ、著しく多額の費用を要しないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する。』
新しく改正された同条項は次のとおりです。
『共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する。』
変更された部分に下線を引きましたが、この改正は、今まで定期的に大規模修繕工事として行う外壁塗装工事や手摺(てすり)の塗装工事などについても多額の費用を要するため、4分の3以上の特別決議を得なければならないか結論が分かれていました。4分の3以上の可決条件が必要とすると、決議を得られず修繕工事も滞ってしまうという状況が生じ、これを解消するものとして改正がなされました。
【質問】改正された区分所有法の『形状又は効用の著しい変更』とは、どのようなものをいうのでしょうか。
【答え】共用部分の形状の変更とは、外観や建物の構造を変更することをいい、共用部分の効用の変更とは、その機能や用途を変更することをいうと解釈されています。
例えば、外観の変更とは階段部分をエレベーターにするとか、効用の変更は駐車場を店舗にする場合などをいいます。
しかし、いずれの場合も『著しい変更』の場合のみ特別決議(4分の3以上の可決条件)が必要とされていますので、ご質問の歩行者用出入り口にドアをつけることは、『共用部分の形状の変更』には該当しますが『著しい変更』には当たらないので、集会において普通決議(2分の1以上の可決条件)で可決されれば作ることができます。
【質問】ところで私のマンションの規約は、改正前の区分所有法のとおり規定されていますので、この規約を特別決議(4分の3以上の可決条件)で変更しなければなりませんか。なかなか4分の3以上の可決条件がとれないのですが。
【答え】出来れば今回の区分所有法の改正で変更された部分について、規約を改正することが望ましいといえます。
しかし、規約が改正されなくとも強行規定といわれる区分所有法の条項については、区分所有法の条項に反する規約は無効となりますので、規約の改正をしなくともこの区分所有法第17条第1項の共用部分の変更は改正後の条項どおりで可決できると考えます。
ただ、質問者の歩行者用出入り口にドアをつけることは、改正前の区分所有法の条項と実質的には同じといえましょう。つまり、質問者のマンションの規約においても、『改良を目的とし、かつ、著しく多額の費用を要しない場合』は、普通決議となっていますから、この歩行者用出入り口のドアの設置は、普通決議で可決しても実質的に規約に反する場合ではありません。ただ、2003年6月1日以降は区分所有法の改正されたものが施行されておりますので、あくまでも改正区分所有法第17条第1項に基づいて集会に提案し、普通決議で可決することにしなければなりません。