【質問】30年たつマンションですが管理費・修繕積立金の未納者が多く、裁判を提起して勝訴判決を得ました。しかし、その人は平然と未納のまま住んでいるのです。
マンションの登記を見るとマンションの評価よりも高額の抵当権が設定されています。水道メーターが共用部分から分岐されているので、水道を止めることは出来ないでしょうか。
【答え】あなたと同様な思いから実力行使に出たケースもあります。しかしそれは逆に実力行使に出た者に対し、損害賠償を支払えと裁判所は判決を下したのです。
セントラルヒーティングの給湯設備を止めた管理会社が不法行為に該当するとして、逆に損害賠償を支払えという判決が出た事件(東地判、平成2年1月30日)があります。また、水道の元栓に粘着テープを張り付ける行為をした理事長に対し、その上管理組合に対しても、不法行為に基づく損害賠償を命じた判決(福岡地小倉支部判、平成9年5月7日)があります。
【質問】その理由とするところは何でしょうか。管理費の支払いはマンションの区分所有者にとって重要な義務なのですが。
【答え】確かに管理費から支払う共用部分の電気、水道代、管理員給与、エレベーターの保守点検費などすべてがマンションの管理にとっては重要な事項です。しかも滞納区分所有者は自分がその利益を享受していながら、自分だけ「ただ」で生活していることについて他の区分所有者が納得できないのは当然です。
しかし判決では、電気や水道、給湯などを止めることは、滞納者であってもマンションにおいて、生活していく手段としては必要不可欠なものであるから、これを止めることは権利の濫用、つまり権利者の行き過ぎた行為であると考えられたわけです。ことに電気、水道などは現代のマンションにおいて生活のための不可欠な必需設備であるとする考えがあるからだと思います。
【質問】実は長期滞納者のDさんが破産をしたことが裁判所からの通知でわかりました。破産の場合はどのように対応すれば良いでしょうか。滞納管理費はもうとれないでしょうか。
【答え】近頃は自己破産が多く、いくつかの管理組合からも同じような質問を受けています。Dさんはマンションを持っていますので、破産管財人が選任される可能性が大きく、破産管財人がDさんの財産を調べ、一方債務額を調べるため、債権の申し立ての通知を全債権者に出し、配当があれば優先順位に従って配当を行います。
債権の中で最も優先される債権を財団債権といい、次の順位の債権を優先債権といってマンションの管理費のようなものがあり、最後は一般破産債権と名付けられ優先順位を分けて配当します。しかし、明らかな超過債権で配当金のないような場合、例えばほかに資産がなくマンションの価格より抵当権の残債が多い場合などは、近頃では同時廃止といって破産開始と同時に廃止され、免責決定が出ると破産者に対する債権は消滅してしまいます。
【質問】それでは免責決定が出ると、もう実際に取れないのでしょうか。
【答え】免責決定が出ると、Dさんに対してはもう請求が出来なくなります。
しかし、この専有部分を買った新しい区分所有者には免責の効力は及びません。免責の効力は破産者その人にのみ効果が及ぶのであって、新しく購入した人は免責の効果を管理組合に対して主張することは出来ず、前所有者の滞納分を承継することになります。
【質問】滞納の管理費・修繕積立金があるかどうか購入するときに十分確認しなければなりませんね。その方法は?
【答え】中古マンションを購入するとき、必ず管理組合から何年何月分まで支払っているか証明書をとることが大事です。そして滞納管理費は売買代金から差し引き、その差し引き分を支払うことにするべきです。売主が「私の方で別に支払います」と言っても、その言葉を信用しない方が良いと思います。