【質問】息子が失業して住宅ローンを支払うことができないので、住宅ローンの肩代わりを考えています。住宅の名義は私に変えますが、税金はどうなりますか。
【答え】息子さんに譲渡所得税か贈与税がかかる可能性があります。
【質問】なぜ譲渡所得税が問題になるのですか。
【答え】息子さんは、肩代わりにより住宅ローンがなくなります。これは、あなたに住宅を譲渡して、住宅ローンに相当する代金を受け取り、そのお金で住宅ローンを返済したことを意味します。したがって、譲渡所得税の問題が生じます。
【質問】住宅ローンを肩代わりした場合には、住宅の名義をすべて父である私に変えるのでしょうか。
【答え】肩代わりする住宅ローンに相当する住宅の時価に相当する割合を名義変更します。例えば、肩代わりする時の住宅の時価が4000万円で、住宅ローンが3000万円の場合は、75パーセントの共有割合の変更を行います。
3000万円÷4000万円=0.75
【質問】共有割合を80パーセントとした場合は。
【答え】息子さんからあなたへ200万円を贈与したことになります。この場合の贈与税は200万円から贈与税の基礎控除額110万円を控除した90万円の10パーセントの9万円になります。もし、共有割合を70パーセントとした場合は、あなたから息子さんへ200万円を贈与したことになり、息子さんに9万円の贈与税が課税されます。
(1)息子さんから父への贈与金額
4000万円×(0.8−0.75)=200万円
(2)父が支払う贈与税額
(200万円−110万円)×0.1=9万円
【質問】住宅ローンを肩代わりしただけで共有割合を変えなかった場合は。
【答え】あなたから息子さんへ3000万円贈与したことになります。もし、相続時精算課税制度の適用を受けない場合の贈与税は1220万円になります。
相続時精算課税制度の適用を受ける場合の贈与税は100万円で済みますが、あなたが亡くなった時に3000万円を相続財産に加えて相続税を計算しなければなりません。この場合には、支払った贈与税100万円は息子さんの相続税から控除します。
(1)通常の贈与税((2)以外)
(3000万円−110万円)×0.5−225万円=1220万円
(2)相続時精算課税制度による場合の贈与税
(3000万円−2500万円)×0.2=100万円
【質問】譲渡所得税はどうなりますか。
【答え】息子さんがこの住宅を何年所有していたかという点と取得費がいくらであるかによって異なります。
例えば、名義を変える年の1月1日で所有期間が5年を超える場合は、長期譲渡になります。この場合の所得税と住民税の税率は、20パーセントです。
短期譲渡は、名義を変える年の1月1日で所有期間が5年以下の場合です。この場合の所得税と住民税の税率は、39パーセントです。
【質問】取得費とは。
【答え】取得費とは、譲渡所得を計算する場合に譲渡代金から控除する原価のことです。住宅は土地部分と建物部分に分かれます。土地は取得した金額を取得費とします。これに対し、建物は使うことにより価値が減ります。そこで、建物は取得時から譲渡時までの減価部分を差し引いた後の金額を取得費とします。
【質問】譲渡所得税はどのような場合にかかりますか。
【答え】肩代わりを受ける住宅ローンの金額が取得費と譲渡費用を上回る場合には、譲渡所得税を納める必要があります。息子さんの場合は、肩代わりを受けた住宅ローンが3000万円なので、取得費が3000万円であれば譲渡所得金額はゼロになります。
ただし、共有割合は全体の75パーセントなので、共有割合を掛ける前の取得費の総額で考える場合は4000万円になります。
したがって、取得費が4000万円を下回る場合には、譲渡所得税がかかります。
3000万円÷0.75=4000万円
【質問】居住用の3000万円の特例は適用できませんか。
【答え】配偶者、親子間などの直系血族、生計が同じ親族間などの売買には、居住用土地、建物の譲渡益について3000万円まで課税しないという特例の適用はありません。
【質問】贈与税と譲渡所得税を払わずに住宅ローンを肩代わりできる場合は。
【答え】繰り返しになりますが、住宅の時価を正確につきとめることが必要です。次に、その時価と肩代わりする住宅ローンの比率をあなたに移転する共有割合とします。これにより贈与税の問題はなくなります。
譲渡所得税は、取得費と譲渡費用が肩代わりを受ける住宅ローンを上回る場合にかかりません。