【質問】マンション上階の人と下階の人の子供が跳んで歩くため、音がひどく、喧嘩になっています。私は理事長をしていますが、私に生活騒音を管理組合として止めさせるべきではないかと隣室の方から強硬な申入れを受けました。その方は管理会社へも同じことを申し入れています。
生活騒音について、管理組合はどうすべきでしょうか。
【答え】大変難しい問題です。本来、上・下階の騒音トラブルは、上・下階の住人個人の問題としてとらえられています。
上階の人は60db以上の音を出すことは厳に謹むべきであり、マンションにおいては区分所有者及び占有者全員が、静かで快適な生活を送るよう騒音を出さないよう努める義務があります。
しかし、60db以上の騒音を出し、例えば楽器や音楽機器のボリュームを60dbにあげ、また常時、人を招いて窓を開けてパーティをするとか、いずれにしても常軌を逸した騒音を出す場合、これは個人間の問題として放置すべきではなく、管理組合には管理を担当する機関として、その騒音を停止すべき義務が生じてくるでしょう。
ただ、50db〜60dbまでの間の騒音については、上・下階の個人的問題として管理組合が主体となって解決するのは、管理組合の義務とまではいえないでしょう。もちろん、管理会社も仲裁に入る位はできますが、最終的に騒音を防止する義務者ではないのです。
【質問】規約ではピアノが禁止されているのですが、友人の部屋の下階から毎日3時間くらい、ピアノを弾く音が響いてきて、家のなかでする事務の仕事も進まず、受験生の子供もイライラがつのるばかりです。友人は下階の人と直接争いたくないというのですが、どうすればいいでしょうか。
【答え】下階のピアノを弾く人は明らかに規約に違反しています。したがって、これは個人対個人のトラブルではなく、管理を担う管理組合が規約の遵守を下階の人に要請しなければなりません。
これはペットの飼育と同じ問題だと思います。最高裁判所で確定した判決の事例によれば、ペットを飼った後に総会でペット飼育禁止という規約変更がなされた場合ですら、規約の変更はマンションの大多数の合致した意思であるから、それに区分所有者は従うべきであると判断したのです。
したがって、規約でピアノが禁止されているならば管理組合は、ピアノを弾いている人に中止を求め、それに従わないのであるならば、管理組合は区分所有法第6条1項の「区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」との規定に基づき、同法第57条1項により、区分所有者の共同利益のため、その行為を停止するための必要な措置を執ることが出来ます。
また、同条2項にもとづき、その行為を停止又は中止するための訴訟や仮処分申請を集会の決議にもとづき行うことが出来ます。
【質問】しかし、この場合のピアノもやはり60db以上でなければいけないのでしょうか。つまり生活騒音であれば、一つ、二つの音が単独であるので思考を乱されることは少ないのですが、ピアノは旋律の繰り返しで、音は大きくなくても上階の者の知的思考能力が奪われてしまい、我慢出来ないと言うのです。
【答え】良く分かります。殊に規約違反の場合ですから一般的な騒音の判断基準までいたっていなくとも、つまり60db以下であっても問題になると思われます。
例えば、ペット禁止の規約がある場合、ペットが吠えなくとも、ペットの存在自体が問題となっています。したがって、ピアノの通常の音では60dbを超えないとしても、禁止の方向で管理組合は行動すべきだと思います。
【質問】もし管理組合に何度申し入れても理事は行動しようとしないのであれば、どうすればいいでしょうか。
【答え】管理組合の理事は善良な管理者の注意義務(善管注意義務)を負っており、理事はやりたくないからやらないということは出来ません。管理組合は理事会でこの問題を取り上げ、対応すべき義務が生じるでしょう。
【質問】上階の人の騒音がひどく、申し入れても全く聞こうとしませんし、抗議しても扉すら開けようとしません。「目には目を」と思い、上階の床つまり下階の天井を煩いとき棒でつついてやりたいと思うのですが、いけないでしょうか。
【答え】そのような行為を自救行為というのですが、日本は法治国家でありますから自救行為は禁じられています。フローリング床の騒音に対し、下階の人が上階の人に裁判を提起したところ、逆に上階の人から下階の人が訴えられました。それは下階の人が腹を立てて、上階の人の床を棒で執拗に一時間も叩いていた自救行為が不法行為とみなされ、逆に下階の人に損害賠償を支払うような判決が出たのです。
騒音の問題はマンションに住む人にとって大きな悩みですね。