【質問】屋上の横樋が詰っていて最上階の部屋に雨水が浸水した件で、最上階の人が裁判を提起し、一審では管理組合の管理責任は否定されました。
【答え】管理組合は、この事故後に樋等の排水が最上階に入らないよう改善工事をしましたね。被害者は管理組合が事故の起きる前に改善工事をするべき義務があったと主張したのに対し、一審は、この事故の以前に雨漏れ被害は発生していなかったから、管理組合に改善工事をする義務はなかったとして管理組合の責任を認めませんでした。
しかし、被害者は控訴して争いました。ところが、この被害が発生する3年前、同様の雨漏り事故が発生した事実が新しく判明し、二審では「管理組合は屋上排水ドレーンのごみ詰まりによる漏水事故の結果を予見して、これを回避することが可能で、そうすべき義務があった。これを怠った過失を認めることができる」と判断し、管理組合の不法行為責任を認めました(福岡高等裁判所・平成12年12月27日判決)。つまり、管理組合の管理に過失があったとして、損害賠償金を管理組合に支払えと判断したのです。したがって、この判決から参考にすべきことは、雨漏りでもほかの事故でも、一度問題が生じたときは、管理組合は管理の責任者として早急に改修工事をして二度と被害が生じないよう努めるべきでしょう。
【質問】雨水の浸水被害については良くわかりましたが、雨水でなくて、上階の水が漏ってきた話を聞きたいと思います。
例えば、上階で水をこぼした場合は明らかに上階の人の責任と思うのですが、私のマンションは古くて、ある日、上階から水が下階へ落ちて下階は水びだしになりました。
しかし、その原因は、上階の床を剥ぐと排水管の継ぎ目が外れてそこから水が漏れていました。上階の人は自分が排水管を外した訳ではないから責任はないといいます。どう考えたらいいでしょうか。
【答え】排水管のどこまでをだれの所有とみるか、従って排水管からの水漏れ被害はだれの責任となるのかは大きな問題です。
マンションには1人の区分所有者が所有する専有部分と全員で共有する共用部分とがあります。排水管のうち共用部分といわれる部分は、パイプスペース(P.S)内の縦管と各戸口まで敷設された管をいいます。各戸口部分から下階のコンクリートスラブの上と床の間に台所や風呂場へ敷かれている配管は、専有部分の配管と定義されています。つまり、マンションは各戸がコンクリートの仕切りによって区画されていて、上階と下階間のコンクリートの仕切りをスラブと云います。そのコンクリートの仕切りの躯体内側を専有部分と考え、その内側で生じた問題は専有部分を所有する区分所有者の責任になります。
このような排水管の外れは、床が下ったりしていると、長い間のうちに管に触れて管の接続が緩かったりすると徐々に外れていく場合があります。
このような水漏れの場合も民法717条の「工作物の責任」者として、占有者または所有者が無過失責任を負う規定が適用されます。
責任とは下階の損害について損害賠償に応じるということであり、夜間、2階の排水管が外れて1回のブティックに水漏れし、洋服が汚水で汚れ、4000万円の請求を要求された事例もありました。
【質問】友人のマンションは私のマンションよりもっと古くて、上階の排水管が下階の天井裏とコンクリート床スラブの間に敷設されています。この排水管から水が漏れた場合もやはり上階の人の責任でしょうか。
【答え】古いマンションでは、配管類が専有部分、つまりコンクリートのスラブの仕切りから下階へ出た部分に設置されている場合があります。
このような排管が上階の人の専有部分であるか、または共用部分とみなすかが争われたケースがあります。
上階の人は、コンクリートの仕切りスラブより下の排管について自分は知らないことであり、自分の力では管理維持ができない排管なので共用部分であると主張しました。
東京地方裁判所は「本件排水管は、部屋の目に見える場所に取り付けられ、かつ、区分所有者の好みで器具の選択等の余地のある給水管とは異なり、共用部分と見られる床下と階下の天井との間に敷設されており、特に区分所有者の好みで維持管理を行う対象となる性質のものではなく、雑排水を機械的にスムーズに流すことにのみ意味があるに過ぎず、少なくとも維持管理の面からは、むしろ本件マンション全体への付属物というべきである」と、このような場所の排管類は共用部分であると判示しました(平成3年11月29日判決)。
このように排管をめぐっては、水漏れ事故を起こした場合、専有部分か共用部分かが争われ、水漏れ被害の賠償責任を負うのは誰かという問題が争われてきました。
水漏れ事故のみではなく、排水管の清掃に当っても専有部分にある排水管の掃除を拒否する人に対して、管理組合はどうすれば良いかなど新しい問題も発生しています。