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マンションに住んでいない組合員の協力金についてお尋ねしたい

弁護士・田中峯子さん
2006年11月25日

【質問】管理組合の問題(その二)で、不在組合員だけに5000円の協力金について規約の改正を決議したというBマンションの管理組合の判決について、一つの判決は管理組合勝訴の判決を、もう一つの判決は別の裁判官によって管理組合敗訴の判決となったということでしたが、もう少し詳しく聞きたいのですが。

【答え】正確に話すと事実は次のとおりです。

 Bマンションは区分所有者数868戸の大規模なマンションです。

 管理組合は平成16年3月14日の総会において4分の3以上の多数決によって管理規約を改正し、1カ月1室あたり5000円の協力金を不在組合員は支払うこと、ただし、使用している者が3親等以内の者である場合は、その者が組合員と同等の管理組合の権利義務(無償の役員事務負担)を果たすことで協力金は払わなくていいとの決議を可決しました。

 これに対し、不在組合員からは(1)5000円の根拠が不明であること(2)何の目的に使用されるか不明であり、もし役員の事務について費用が必要ならば全居住者から徴収すべきであること(3)管理費が不足するならば、全員に対して管理費を値上げすべきであると反論が出ました。

【質問】管理組合側はどう反論したのですか。

【答え】組合側は、在住組合員は理事はじめその他の諸活動を負担し、コミュニティ活動を負担しているが、不在組合員は第三者に賃貸して収益をあげており、在住者の役員の事務により恩恵や利便を受けている。そして他の目的の為にその時間を利用しているから、協力金を徴収することによって区分所有者間の公平に影響を与えるものではないと主張しました。

【質問】別の裁判官はどう判断したのですか。

【答え】この裁判官は、「本来、Bマンションは公社が分譲したものであり、自ら居住する住宅が必要である者を対象として分譲したものである。しかし年が経ち、第三者に賃貸したり使用していない住戸は868戸中、181戸となり、この決議に従わず協力金を支払っていない住戸は17戸である」旨の前提事実を認定しました。

 そして、不在組合員は役員の選任の対象とはならず、フロア会の事務も負担することもないので、協力金を徴収することは、その内容において不合理とまではいえないこと、年間6万円は不在組合員が受忍すべき限度を超えているまではいえないし、本件決議は特定の一部区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすものとまでは云えないから、個別の承認を要するものではないと組合側勝訴の判断をしたのです。(大阪地方裁判所 平成18年9月15日判決)

【質問】同じマンションで組合側が敗訴した判決はどのようなものだったのでしょうか。

【答え】同じマンションの同じケースで、大阪地方裁判所のそれぞれ別の部の裁判官は、組合側敗訴の判決を出しました。

 不在組合員が役員事務等の負担を分担せず、在住組合員に集中している事情にあるならば、規約において役員手当の財源を徴収し、その徴収額に差を設けること、この差が合理的な範囲である限りは区分所有法第30条3項には抵触しないと先ず判断しました。

 しかし、この協力金は組合の一般管理事務のための費用や修繕積立金に充てられており、役員手当に充てられないから不在組合員から一般管理費や修繕積立金の財源として5000円の利益を受けることになる。

 また、不在者数を176名として、毎月5000円の協力金を計算すると年間1056万円となり、これを役員数で割ると役員一人年33万円になるので衡平とはいえず、区分所有法第31条1項の承諾を得るべきである。その承諾を得ていないので同法30条3項に反し、この決議は無効であると判断したのです。

【質問】では、不在組合員と在住組合員の公平や役員の報酬はどのように決めたらいいのでしょうか。

【答え】二つの判決と他の裁判から考えてみると、次のように考えていいのではないでしょうか。

(1)役員の報酬について規約の定めがないときは、4分の3以上の多数決で規約を変更して決定する。

 しかし、報酬額は社会常識的に定め、あまり高額にしない。

(2)不在組合員と在住組合員に協力金の差をつけるならば、1カ月2000円くらいまでならば不公平とはいえない。

 そうすれば不在組合員の承諾は不要ではないか。

(3)しかし、その協力金はあくまでも役員報酬費用か、連絡費用として徴収するものならば良く、一般管理費や修繕積立金には入れることはできない。

 以上のように考えてはいかがでしょうか。


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