現在位置 : asahi.com > 住まい  > ここが知りたい  > 記事 ここから本文エリア
広告部分を飛ばすリンクです
注目マンション情報


広告部分終わり
広告部分を飛ばすリンクです
広告部分終わり
「ここが知りたい」 ここから本文エリア

マンションの区分所有者が高齢となり、管理組合理事のなり手がいません

弁護士・田中峯子さん
2006年12月30日

【質問】私の住んでいるマンションは50戸で建築されてからすでに30年が経過しました。区分所有者も70代となり、管理組合の理事のなり手がいません。どのように運営していけばいいでしょうか。管理規約では理事が代理人を立てることはできません。

【答え】日本でマンションが普及し始めたのは昭和45〜50年ごろで、築後すでに30年経過しようとするマンションが増えています。

 ところが、建築当時は床面積も小さいため子供の世代と2世帯が同居するのが難しく、若い人が少ないマンションも多いようです。これから建替えなどの難しい業務を遂行しなければならない理事の人が高齢で、なり手がいないというマンションは悩みが深刻なようです。方法としては管理規約を改正して代理人を置くことも一つの方法です。

 しかし、その適用もルーズになっていくので、きちんとした規定が必要です。つまり、代理人は理事会で発言し、議決に対し議決権の行使ができ、マンションの運営を決定する権限を持つからです。

例えば、

(1)理事長は区分所有者であり、理事長は代理人を置くことはできない。

(2)理事は区分所有者であるが、配偶者と親族一親等の代理人を置くことができる(例えば、夫・妻または子)。

(3)理事会議案について文書で事前に区分所有者である理事に配布する。

というものです。

【質問】管理規約を改正するのは4分の3以上の多数決が必要ですが、私のマンションでは高齢の区分所有者が多いうえ、マンション以外の場所に住んでいる人も3分の1ぐらいいて、集会への出席もなく、委任状の提出もなく、まったく無関心なのです。かえって長い間賃借している人が管理に関心があって協力してくれているので、その住戸の区分所有者の同意があれば賃借人を理事にすることはできないでしょうか。

【答え】区分所有法は、マンションは多くの人が集合して住んでいますが、所有している人=区分所有者と占有している人=と、賃借人を明確に分けており、集会や理事会での議決権の行使は区分所有者のみができることに定められています。つまり、マンションは所有権者の集りで、マンションは所有権者の財産であり、その管理の決定権は区分所有者のみに与えられているのです。

 占有者である賃借人は規約に従って生活しなければならない義務を負担していますが、理事になったり、規約を変更したりする権利はないのです。

 ただ、現実の毎日の管理については、自治会のような組織を作って区分所有者の権利を侵害しない程度に賃借人も含めて運営されている場合もあります。

【質問】理事の代理人は配偶者と子供に限定した方が良いということですが、配偶者は正式に戸籍に入っていなければいけないのでしょうか。また子供ということですが、その子供の配偶者(例えば、子供の配偶者)は代理人になれないのでしょうか。

【答え】なかなか難しい問題です。上記の制限からいうと法律的に考えれば代理人になれないわけです。

 問題となったケースは2〜3年前から同居し始めた戸籍上は夫でない男性が理事長となり、権威を振るった例があります。一度理事長の職権を把握するとなかなか辞めさすことができず、理事会も多数派と少数派に分れトラブルになったケースもあります。

 やはりマンションは多くの人の集りですから、規約できちんとルールを決める以外にいい管理方法はありません。

【質問】裁判になった事件はありますか。

【答え】あります。Kマンションはリゾートマンションであるため、理事になった区分所有者が遠方にいたり、区分所有者の夫は仕事が忙しいために妻が代って出席することが多かったマンションでした。そのため妻に代理権があるのかが問題となり、臨時総会を開き、配偶者または一親等の親族に限り代理出席させることができるという内容に管理規約を変更しました。

 これに対し、一人の区分所有者が、民法55条がこのマンションにも準用されるから、理事が他人に代理させることは包括的・全面的にはできず、特定行為に限ってしか代理できない、したがってこの管理規約の変更は無効であると総会決議無効確認の裁判を大阪地方裁判所へ提起しました。

(1)大阪地方裁判所の判決(平成元年7月5日)は、理事会は理事の協議によってマンションの利益増進のため真の妥当な結論に達すべきであるから、理事の代理の職責は包括的な行為である。よって管理組合の総会決議を無効と判断するというもので、組合は敗訴しました。

(2)組合側が控訴した大阪高等裁判所の判決(平成元年12月27日)は、マンションの管理組合法人は私的自治が認められるもので、理事会に理事の代理人を出席させることは私的自治に属する事柄である。

 同法人は積極的に事業を行うものではないから、理事の代理行使を認めても同法人やその構成員に実質的不利益を与えるものではない。また、リゾートマンションにとっては理事が集まりにくいので、理事会の円滑な運営には代理は必要不可欠である。

 理事会の議事事項について理事にあらかじめ知らされることになっているから、抽象的・包括的代理を認めたものではない、と判断して組合勝訴となりました。

(3)最高裁判所の判決(平成2年11月26日)も管理組合の事務は、区分所有者の集会の決議によって決定されることになっているから、理事会に委任する事項は限定されている。

 したがって、配偶者又は一親等の親族に限定して代理を認めたものは、この新規定により理事への信任関係を害するものではない、と判示しました。

 以上のように最高裁判所の判決まで出ましたので、理事の代理問題については一件落着した感がありますが、道義的な問題として、理事として活動できない場合は、理事職を引き受けるのは避けた方が良心的といえるでしょう。


ここから広告です
広告終わり

提携サイトで探す

全国の売買物件をお探しの方全国の賃貸物件をお探しの方不動産を売却したい方不動産会社をお探しの方
広告特集へのリンクです
広告ページへ
広告特集へのリンク終わり 広告特集へのリンクです
広告ページへ
広告特集へのリンク終わり 広告特集へのリンクです
広告ページへ
広告特集へのリンク終わり
∧このページのトップに戻る
asahi.comに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。 Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.