 私のマンションは何でも理事長の言いなりです。どうすればいいでしょうか。
弁護士・田中峯子さん
2007年01月27日
【質問】私は最近、中古でマンションを買ったのですが、このマンションは区分所有者全員がおとなしく、戸数も30戸という小規模マンションです。長くやっている理事長とその人を取り巻く人たちで、何でも理事長の言いなりのようです。どうすればいいでしょうか。
【答え】区分所有法では、第25条で集会の決議によって管理者を選任し、解任することができるとし、共用部分の管理や集会の開催を決める権限を管理者が持つことを定めています。
ほとんどのマンションの規約にも同様の条項があって、管理組合の理事長が管理者と決められています。
そのため、区分所有者集会で管理者となる理事長を選任したり、選任された理事がその後に開かれた理事会で理事長を選任することになっているマンションの規約がほとんどです。
【質問】いつも同じ理事が選ばれるのですが、理事は何年も継続して就任していていいのでしょうか。
【答え】区分所有法第49条5によれば、「理事の任期は2年とする。ただし規約で3年以内において、別段の期間を定めたときはその期間とする」と定められています。大規模マンションでは、1年ごとに各階からフロアー委員が理事になっていますが、1年ごとの改選は理事会に慣れるまでに数カ月必要で、やっと事務に慣れた時はもう改選という時期が来てしまうという問題があり、2年に変更しているマンションもあります。また、理事の半数を6カ月で改選し、管理事務が停滞しないように規約に定めているマンションもあります。
しかし、実際は小規模なマンションでは理事の希望者がなく、法律に違反していてもしかたなく長期に理事に就任しているのが実情のようです。改めるようにマンション内で話し合って行きましょう。
【質問】法的な力で現在の理事や理事長を変える方法はないでしょうか。自分一人ででも変える方法はないですか。
【答え】解任の方法は、区分所有法第25条で定められています。
一つは区分所有者の集会決議で理事長,理事(区分所有法第49条で25条準用)を解任することができます。しかし、あなたのマンションでは、集会の決議では多数決はとれないようですね(区分所有法第25条1)。
もう一つの方法は、管理者(理事も含む)に「不正な行為、その他その職務を行うに適しない事情があるときは、――解任を裁判所に請求することができる」という条文があります(区分所有法第25条2)。
【質問】ただ長く理事長や理事を行っているというだけでは解任の理由にはならないのでしょうか。また、私一人が裁判所に解任請求が出来るのでしょうか。
【答え】この裁判は一人でもできます。しかし、理由が必要であって「不正な行為」がなければなりません。
「不正な行為」とは、理事長,理事は全区分所有者のために「善良な管理者の注意義務」をもって職務を果たさなければならないので、それに違反して区分所有者に「損害」を与えた場合といわれています。
「その職務を行うに適しない事情」とは、長期の病気や長期の不在で職務を果たせない場合、例えば長期修繕工事で工事業者が理事長、理事の親類等で親しい場合、理事長等がその工事に検査や査定で関与するような場合等、直接または間接に関与してマンションの管理運営の公正さが大きく疑われるような場合が考えられます。
したがって、長期に理事長や理事に就任している場合、それが区分所有法や規約に違反していないかどうかを検討し、1人で裁判を提起できます。
しかし、その前に自分が理事に立候補するとか、同志の人を探すとか改善を管理組合の中に入って行動することをお勧めします。
【質問】マンションの玄関の壁も汚く、玄関タイルも落ちそうになっているので、十分あまっている管理費や修繕積立金で修繕してほしいと私が理事会に申し入れたところ、理事会ではその必要なしと決議し、理事長はもし強行に要求するならば、理事も好きでやっている訳ではないから全員で辞任しますといわれました。理事全員で辞任されると大変困るのですが、私の意見に賛成してくれる人も3人集まりました。そうこうしているうちに、理事全員、理事長も辞任してしまいました。
規約では、臨時総会を開くため、5分の2の区分所有者の賛成が必要なのですが、その数の賛成者が集まりません。
【答え】それでは、あなたのマンションは管理者も理事も不在となり、現実に管理することが不可能となってしまったのですね。
このような場合、放置すると緊急を要する事務が生じてくるので、この不都合を避けるため、マンションで法人格のない場合にも権利能力なき社団として民法第56条の規定を準用し、仮理事長を選任できると大阪地方裁判所で決定されました(大阪地方裁判所判決・昭和63・2・24)。
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