現在位置:asahi.com>住まい>ここが知りたい> 記事 PR 注目マンション情報マンションの住人から管理組合が提訴されました。どうすればいいでしょうか。2007年03月03日 弁護士・田中峯子さん 【質問】私のマンションは50戸の小規模のマンションで法人の登記はしていません。いわゆる「権利能力なし社団」として扱われる普通のマンションです。 ところで、最近、理事会が決定した使用制限の件で、事務所として使用することを制限された住人から管理組合に、損害賠償請求の裁判が起されびっくりしました。私たちはどうすればいいのでしょうか。 【答え】マンションの管理に関して管理組合の理事会でいろいろ決定していかなければならない事項が多く、その運用を間違うと、損害をこうむった人から損害賠償の請求を起こされるので慎重を期さなければなりません。 ご相談と同種の事件がありました。あるマンションで、Aさんは8階の専有部分を所有し、住居兼事務所としてB社に賃貸していたので、元々事務所として使用できることになっていました。その後、管理組合は3階以上の建物部分を事務所として使用する場合は組合の承認を受けなければならないと規約を改正しました。しかし、規約改正前にすでに占有者の使用目的が事務所となっている部分については旧規約で認めているので、そのまま事務所として使用してよい旨の決議も同時にしたのです。 Aさんはその後、B社への賃貸を終了してC社に賃貸しようとしていたとき、理事会に承認を求めたところ、理事会は承認を拒否しました。 そのためAさんは住居用として賃貸の募集をしたのですが、借り手がなく、結局売却せざるを得ませんでした。 Aさんは事務所として使用できる既得権は保護されるべきであるとして、管理組合を相手取って借手のつかなかった日から売却を完了した日までの賃料を裁判で請求したのです。 【質問】その結果はどうなりましたか。 【答え】東京地方裁判所(平成4年3月31日判決)は、「規約改正前までは事務所として使用することを許容されていたから、その既得権を奪われたAさんの不利益は極めて大きい。管理組合が主張する床の加重の問題や消防設備の必要性など利益を損なう問題もあるが、両者の利益を比較考量すれば、Aさんの所有者でありながら受ける不利益は、受忍限度を超えるものと認められる」旨判示して、管理組合は本件賃貸借を承認すべき義務を負っていたものと解され、これを承認拒絶したことにより、Aさんの所有権を違法に侵害したと認め、Aさんの損害賠償請求を認めました。 【質問】そうすると敗訴した管理組合が賠償金を支払わなければならないとすると、それはどこから支払われるべきなのでしょうか。 【答え】管理組合が被告となっているので、管理組合が支払わなければなりません。 つまり、理事会・それを代表する理事長(管理者)がその職務を行うにつき、不法行為により他人に損害を与えた場合、あなたのマンションは「権利能力なき社団」と考えられるので、民法44条1項(法人は理事がその職務を行うにつき他人に加えたる損害を賠償する責に任ず)を準用ないし類推適用するといわれています。 【質問】管理組合に賠償金を支払うような財産はあるのでしょうか。私たち区分所有者に責任はあるのでしょうか。 【答え】管理組合の保管する管理費や修繕積立金は、管理組合の財産とみなされるため、その保管している管理費や修繕積立金から支払われることになります。 しかし、区分所有法第3条で区分所有者は団体を構成して管理者を選んでいるので、管理者の不法行為について、被害者に対しては賠償に応じなければなりません。それは管理費や修繕積立金で支払った場合に不足した額を支払う二次的・補充的なものではなく、区分所有者個人にも直接的に請求される債務となります。 【質問】それでは、例えば外壁のタイルが落ちて下にある車が潰れたり、人がけがをしたりする場合の損害の賠償についても同じ考えでしょうか。 【答え】そうです。例えばビルの共用部分である外壁面に付いている設備が隣家を侵害しているので、隣家の人が管理組合を相手にその設備の撤去を求めたところ、最高裁判所(昭和61年7月10日判決)は、管理組合や管理者には撤去すべき義務はないとして隣家の請求を認めませんでした。 つまり、管理組合や管理者は共用部分を管理する権利と義務は存在しますが、共用部分の設備は全区分所有者が共有持分の割合で所有権を持つもので、所有者を相手に訴を起こさなければならないという意味と思われます。 ここが知りたい バックナンバー
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