現在位置:asahi.com>住まい>ここが知りたい> 記事 PR 注目マンション情報マンションの生前贈与での相続時精算課税制度について教えてください2007年03月10日 弁護士・安彦和子さん 【質問】80歳になるのを機に、ひとり暮らしをしている48歳の長男に相続時精算課税制度を利用させて時価3000万円のマンションを生前贈与したいと思っています。私には妻と長男、次男の2人の子どもがいます。そもそも相続時精算課税制度とは、どういう制度なのでしょうか。 【答え】2003(平成15)年の税制改正により新設されました。税負担を軽減し、親から子に贈与しやすくした制度です。 【質問】どういう人が利用できるのでしょうか。 【答え】贈与した年、1月1日現在の贈与者の年齢が65歳以上であることが条件です。贈与を受ける受贈者は贈与者の直系卑属の推定相続人で、贈与を受けた年の1月1日現在の年齢が20歳以上であることが条件になっています。 直系卑属というのは、贈与者からみて直接の親子関係にある子孫のことです。 推定相続人は、実際に相続が発生すると相続人が確定しますが、相続発生まではかならずしも相続人と断定できないため、推定相続人といいます。たとえば、両親、長男と長女の2人の子どもがいる場合、父の推定相続人は母と長男、長女です。すでに長女が亡くなり、長女に子(父からみると孫)がいる場合は、母と長男、長女の代襲相続人となる孫が推定相続人になります。 【質問】相続税の軽減とは、具体的にどういうことですか。 【答え】相続税の軽減は、贈与時と相続時の2回にわたって税負担の計算をするとわかります。 まず、相続時精算課税制度にかかわる贈与については、2500万円の特別控除額があり、2500万円までは贈与税がかかりません。これを超えて贈与を受けた場合は、2500万円を超えた分についてのみ、一律20%の贈与税がかかります。一般の贈与税に比較すると、かなり軽減されています。 次に相続が発生した場合の計算ですが、死亡時の遺産評価額に先に贈与した額を加算しなければなりません。 贈与した額は贈与時を基準にします。従って、贈与後の値上がり、値下がりは関係しません。遺産評価額に生前贈与分の額を加算した総額について相続税を算出します。相続税の算出については、総額から基礎控除として5000万円と相続人1人につき1000万円を控除することができます。 基礎控除額=5000万円+1000万円×相続人数 相続税対象額が基礎控除額以内であれば、相続税はかかりません。相続税がかからない場合、納めた贈与税全額の還付を受けることができます。 遺産総額が基礎控除額を超えている場合は、超えている額分について相続税を納めなければなりません。 相続税がすでに納めた贈与税より高ければ、その差額を納めることになり、反対に相続税よりすでに納めた贈与税が高ければ、その差額の還付を受けることができます。 【質問】相続時精算課税制度を利用する場合の手続きはどうなりますか。 【答え】贈与を受けた人は、贈与税の申告期間内、つまり贈与を受けた年の翌2月1日から3月15日までの間に、所轄する税務署長に「相続時精算課税選択届出書」を提出しなければなりません。届出書には身分関係を証明する戸籍謄本や贈与したことを証明する書類などを添付します。 相続税がかからない場合には相続時精算課税適用者でも、申告書を提出する必要はありません。 すでに納めた贈与税額が相続税額を上回る場合は、還付を受けるための申告書を提出すると、上回る分の還付を受けることができます。 提出期限については規定がないため、相続開始を知った日から5年の消滅時効前までと解釈されています。 【答え】私の場合はどうなりますか。 【質問】贈与者が80歳、受贈者が48歳で、2人の身分関係は父子ですから、相続時精算課税制度を利用できる要件をそろえています。 長男は贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までに、相続時精算課税選択届出書を作成して税務署長に届け出て、贈与額3000万円から2500万円を控除した500万円について20%の贈与税100万円を納めることになります。 相続発生時には、相続税対象額が死亡時の遺産評価額に贈与分の3000万円を加算しなければなりません。 相続人は配偶者の妻と2人の息子なので、基礎控除額は8000万円です。相続税の対象額が8000万円以下であれば、すでに納めた贈与税100万円の還付を受けることができます。相続税が納めた贈与税100万円を超えた場合は、100万円を超えた分の相続税を納め、相続税が100万円より低ければ、その差額の還付を受けることができます。
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