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「ここが知りたい」

マンション内で傍若無人な態度の住人がいます。どういう場合にどんな措置がとれるのでしょうか。

2007年05月26日

弁護士・田中峯子さん

【質問】1年前から私のマンションの301号室に賃貸で入って来たAさんは、傍若無人でベランダで大声で歌を歌ったり、密室のエレベーター内で女性に親しげに声をかけて聞くに絶えないことを言ってからかったり、注意する管理員には、暴力には及ばなかったものの大声で怒鳴るなど異常な態度をとっています。管理組合の理事会でもどうしたら良いか議論がなされています。マンションの借家人に対して、どういう場合にどんな措置がとれるのでしょうか。

【答え】借家人のAさんとして、区分所有者の賃貸人をBさんとして話を進めましょう。

 区分所有法第6条第1項は、「区分所有者は建物の保存に有毒な行為、その他の建物の管理又は使用に関して区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」と規定しています。同法第57条第1項は、「6条1項の規定する行為をした場合又はするおそれのある場合は、区分所有者はその行為を停止し、……予防する為必要な措置を執る」ことが出来る旨、規定しています。

「共同の利益に反する行為」とは、裁判例から次の場合が認められています

(コメンタールマンション区分所有法より)。

(1)「行為を停止できる場合」

 ・騒音または悪臭の原因となる行為―カラオケ店に対し一定時間カラオケの営業を認めた事例

 ・保育所としての使用禁止が認められた事例

 ・ペットの飼育について禁止を認めた事例

(2)「行為の結果を除去する場合」

 ・共用部分であるピロティ部分を物置として使用していた事例

 ・ガス風呂釜を設置するため、構造上の共用部分である壁柱の部分に穴を開けた区分所有者に復旧工事を認めた事例

 ・テラスに設置したサンルームの撤去を認めた事例

(3)「行為を予防する為に必要な措置を執る場合(予防)」

 ・裁判事例ではありませんが、例えば耐力壁を除去・加工しようとしている場合などに工事禁止の仮処分申請が可能でありましょう。

【質問】しかし、Aさんはマンションの理事会にもいろいろと難癖をつけて来て、一筋縄では動くような人ではありません。理事の中でも女性は復讐(ふくしゅう)されるのではないかとおびえたり、子供に危害が加えられたりしてもと尻込みする人もいます。法的に管理組合として出来る方法を考えたいのですが、区分所有法第57条第1項により、具体的にどのような防止策を組合はとることが出来るのでしょうか。

【答え】区分所有法第57条第1項は、借家人(占有者)に対しても同法第57条第4項で準用すると規定しています。したがって、借家人も区分所有者と同じように共同の利益を害する行為をした場合、管理組合が必要な措置をとることが出来ます。管理組合の理事会または総会で検討し、共同の利益に反する行為であればそれを停止させるため、理事長からの注意・勧告が出来るでしょう。

 エレベーター内の女性に対するいやがらせがあれば、迷惑防止条例違反で警察に刑事告訴を個人的にもすることが出来ます。

【質問】集会で注意・勧告を決議するといっても、後でAさんから報復を受けるのではないかと思うと大変恐ろしいのですが。

【答え】でも恐ろしがってばかりでは進展もないわけで、Aさんが暴力を行使しようとする場合は、すぐに110番して警察に来てもらう場面もあるでしょうが、暴力を怖がっていては、いつまでたってもAさんに円満な共同生活を営ませることが出来ないので、全員が一体になってAさんに当たらなければなりません。一人一人が自分の所有するマンションの生活環境を良い状態に維持しなければ、マンションの経済的価値も下落してしまうでしょう。

【質問】理事会がAさんに共同の利益に反する行為を止めるよう求めたのですが、Aさんは聞き入れようとしません。このような場合は裁判を起こすことはできるのでしょうか。また、区分所有者の集会において裁判を提起する場合の議決の条件はどのようなことになるのでしょうか。

【答え】裁判を提起するための条件は、区分所有法第57条第2項で集会の決議によると規定されていますので、この決議は普通決議でよいことになります。そして管理者(多くのマンションでは理事長)が過半数の賛成を得て原告となり、裁判を提起することが出来ます。


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