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「ここが知りたい」

マンションに10人前後が住んでけんかをしたりしています。使用を禁止できますか。

2007年06月30日

弁護士・田中峯子さん

【質問】私のマンションは築20年たつ古いマンションなのですが、ある日、20人くらいの人が101号室へ入って行くのを目撃しました。何事だろうと驚いたのですが、親しいマンションの友人に尋ねると、101号室は売りに出され、ある人が買ったと言うのです。それ以降、10人前後の人が住んでいるようで、どうすればいいでしょうか。

【答え】なかなか困難な問題です。区分所有法第57条は、同法6条1項の行為―「建物の保存の有害な行為、その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為」をしたとき、又はするおそれのある場合は、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な行為をすることが出来ると規定しています。 同法58条1項では、その行為が共同生活上の障害が著しい場合で、法57条の停止などの行為では、共同生活の維持を図るのが困難である場合、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は集会の決議に基づき訴えをもって専有部分(101号室)の使用の禁止を請求することが出来ます。

 つまり、法57条では共同の利益に反する行為の停止・除去・予防行為が出来るだけですが、法58条は共同の利益に反する行為が著しい場合には、専有部分を使用してはならないという強い請求が出来るという規定です。

【質問】具体的にどのような場合をいうのでしょうか。初めは静かだったのですが、1カ月もたつとけんかの声や、暴力ざたなのかドスン、ドスンと壁をたたく音や泣き叫ぶ声も聞こえてきますし、外へ出て来て大声でけんかをし始めました。どうすればいいでしょうか。

【答え】どの程度になれば共同の利益に著しく違反する行為になるか、法58条の専有部分の使用禁止にあたるのか具体例を挙げてみましょう。

 (1)建物の保存に有害な行為とは、建物の内側または外壁部の一部をこわすような行為であり、内壁にドスン、ドスンと当たる行為など問題はありますが、少しでも現実にこわす行為があれば法58条の使用禁止ができます。

 (2)近隣に迷惑を与える騒音、悪臭などを生じさせる行為や危険物を搬入する行為は使用に関する有害な行為と言えます。あなたのマンションの101号室の所有者が多人数の集会場に使っていて、その集まる人たちが大声でけんかをしたり、暴力を使って他人を威嚇したりしているようでは共同の利益を著しく害する行為であり、専有部分の使用禁止を請求できると思われます。

 (3)規約違反の場合、例えば規約で用途が住戸専用と定められている場合、店舗、事務所に使用したり、集会場に使用したりすることは重大な規約違反となるため、使用禁止が請求できると思われます。

【質問】どのような手続きで相当期間専有部分の使用を禁止することができるのでしょうか。

【答え】区分所有者の集会の決議によりますが、区分所有者数及び議決権の両方の4分の3以上の多数の賛成がなければなりません。

 法58条で「他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき」と規定されていますので、全員の同意と思う人もいますが、これは使用禁止を請求される人を除き、その他全員が請求権を持っているという意味で、そのうち4分の3以上の区分所有者の賛成が必要であるということです(議決件数も4分3以上)。法人となっているマンションは、その法人が請求権を有するということを意味しています。

 法57条の有害行為の停止や除去、予防は2分の1以上の通常決議で訴訟を提起できることに対して、法58条の使用禁止は4分の3以上という賛成が必要となるということで大きく異なります。

【質問】しかし、どちらも裁判を提起することが必要ですね。集会で101号室の人の意見を聞くのでしょうか。

【答え】使用禁止は101号室の所有権者の権利を制限するものですから、裁判によらなければ使用禁止を申し渡すことはできません。出来れば101号室の所有者が自ら有害な使用を止めてくれれば一番良いのでありますから、集会で弁明の機会を与えてあげなければなりません。

【質問】使用禁止といっても101号室の所有者だけですか。それに「相当な期間」使用禁止であるというのですが、その期間はある程度決まっているのでしょうか。

【答え】使用を禁止されるのは、所有者、家族、使用者、使用人などの使用も禁止されます。この場合、この部屋を利用して集会している信者たちも含まれます。

 また、「相当な期間」は数カ月が最短期間であり、数年程度を最長期間とすると言われていますが、暴力団の使用の禁止を認めた裁判例では3年と判示されています(福岡地裁・昭62.5.19)。


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