現在位置:asahi.com>住まい>ここが知りたい> 記事 PR 注目マンション情報集会の議決権について(その一)2007年10月27日 弁護士・田中峯子さん 【質問】 私のマンションは、地下1階、地上10階のマンションです。総床面積8810平方メートルで、住居と店舗・事務所の複合マンションです。 (1)地下1階〜地上3階までが店舗及び事務所(4157平方メートル、47%) (2)地上4階〜10階までが住居(133戸、4653平方メートル、53%) ところで、元土地所有者のAさんは等価交換により店舗・事務所部分全部と住宅部分9戸、総床面積4495平方メートル(51%)を所有しています。 しかし、規約の総会(区分所有者集会)の議決権については、最初は床面積の広さによると決められていましたが、昭和60年に『区分所有権1個につき1議決権を有する。』という規約に変更されています。 そのため、Aさんの議決権は少なくなり、Aさんからこの規約変更の総会議決は無効であると裁判を起されたのですが……。 【答え】 なかなか難しい問題ですね。 規約が変更されたと言われましたが、変更前の規約はどのような内容だったのですか。 【質問】(1)分譲時に用意されていた規約は、『専有部分の床面積の割合に応じた議決権を有する』『集会の議事は、議決権の過半数で決する』と決められていました(原始規約)。 【答え】 そうすると、Aさんは1/2以上の議決権を持っていることになり、マンションの管理に関する決定はAさんの思い通りになると云うことになったのですね。 【質問】 はい、そのため、(2) 昭和59年に『所有する住戸1戸につき各1個の議決権を有する』と変更されました(旧規約)。 【答え】 この変更によると、Aさんは住戸を9戸持っていますから、議決権は9個ありますが、店舗と事務所の区分所有者の議決権がないことになりますね。 【質問】 そうです。そして、(3) 昭和60年に『組合員は区分所有権1個につき1議決を有する』と変更されたので、Aさんは総議決権137個中、13個の議決権(住戸部分9個と店舗・事務所部分4個)を行使できることになりました(現行規約)。 それで、Aさんは『自分は(1)の原始規約で1/2以上の議決権を持っていたのに、自分の反対を押し切って議決したから(2)と(3)の規約変更は無効である。よって規約変更の無効と1/2以上の議決権が存在することの確認を求める』と管理組合を相手に訴訟を起して来ました。 【答え】 同様の事案で一審の福岡地裁(平成3年8月28日判決)は、Aさんの言い分を認めて、(2)の旧規約も(3)の現行規約の変更も無効であるから(1)の原始規約が有効な規約であると判示しました。 二審の福岡高裁では、(1)原始規約も分譲時に区分所有者全員が書面による同意をしたとは認められないので原始規約も無効であるからそれを変更した(2)と(3)の規約変更も無効であると判断しました。 【質問】 そうすると議決権に関する規約の規定はないことになり、今後どのように運営して行くのでしょうか。 【答え】 議決権について規約に規定がなければ区分所有法38条により『議決権は規約に別段の定めがない限り、第14条に定める割合による』ことになります。第14条とは、専有部分の床面積の割合によることになります。しかし、第39条1項で『集会の議事はこの法律又は規約に別段の定めのない限り、区分所有者及び議決権の過半数で決する』と定められています。 したがって、Aさんの議決権が1/2以上であっても、Aさん一人の意思では決めることができず、区分所有者数の1/2以上の賛同を得なければ議案は決定されません。 これが区分所有法においては、ある一人の区分所有者がマンションを支配するということを避けた公平の規定といえるでしょう。 【質問】 この裁判では、原始規約について無効となっていますが、原始規約では『集会の議事は議決権の過半数で決する』となっていたのですね。つまり、区分所有数の過半数は加えられていなかったのですね。 【答え】 そうです。この原始規約では区分所有権者数は決議に必要なかったため、1/2以上の広い床面積を持っている人がこのマンションを自分の思うがままに出来たということです。 しかし、マンション分譲時には購入者も今後のマンションの組合の運営などについてまったく知らない人も多く、分譲業者から求められるままに規約の最後に署名・押印をしてしまう人が多いことも事実です。 特に等価交換方式といって、元土地所有者であった人が土地代としてマンションの建築費を交換して土地価格分について建物の所有権を持っている場合があります。このようなマンションは分譲時のパンフレットに『非分譲』と書かれた部分が多いのが通例です。 そのような場合は、売買契約書と規約を良く読んで不公平な規定になっていないかどうかを十分確認してください。 【質問】 どんなところに不公平なことが書かれているのですか。 【答え】 よく問題になるのは次のような事があります。 (1) 屋外駐車場については、(線を引いただけの)誰かの専用使用権となっていないか。 屋内駐車場は、その多くは地下又は1階部分に設置されているが、屋内駐車場が誰かの所有になっていないか。 駐車場代金は管理費に納入されることになっているか。 (2) 屋上などに作る広告塔(大きな収入になります)は、誰かの専用使用権が決められていないか。 (3) 本件のように集会の議決は議決権と区分所有者数の過半数で決すると書かれているか。 以上のことを良く考えてマンションを購入してください。 |