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共用部分の欠陥(その2)

2008年2月2日

  • 筆者 弁護士・田中峯子

【質問】 新築マンションを買い1年が経ちました。管理組合もようやく活動し始めたのですが、寄せられる苦情は建物の欠陥問題です。

 私は理事になったのですが、あまりにも多くの人から苦情を寄せられるので、組合としてもどのように処理してよいかわからず困っています。すべての苦情を組合で処理しなければならないのでしょうか。

【答え】 マンションの建物の欠陥(瑕疵といいます)をまず区別する必要があります。

 マンションには御存知のように、それぞれの区分所有者が所有する専有部分と全員が共有する共用部分があります。

 専有部分とは各住戸の室内の部分、例えば内装――壁の内塗りやクロス、天井板、床、台所・便所・洗面所・浴室の設備、それらの設備のために室内に引き込まれた電気、ガス、水道、排水等の配管類をいい、それは専有部分の欠陥として、各区分所有者が分譲業者と交渉しなければなりません。しかし、1年目位は分譲業者と交渉して補修が進むのですが、その後はなかなか思うようには進まず、管理組合ならば何とかしてくれるであろうと管理組合に持ち込まれることが多いようです。

【質問】 私は理事を引き受けたのですが、私自身の仕事もあり、とても専有部分の欠陥処理まで手がまわりません。どうしたらいいですか。

【答え】 専有部分の欠陥については、各区分所有者と分譲会社の交渉に任せるべきと思います。ところが、たとえば窓や玄関ドアも共用部分に分類されています。また雨漏りや上・下階の水漏れは共用部分であるコンクリート床(スラブ)の亀裂を通して流れ落ちてくるので、単に専有部分の欠陥とはいえません。1年点検が終った頃、補修されていない欠陥部分についてアンケートをとって、共用部分の欠陥かどうかをチェックする必要があると思われます。

【質問】 共用部分の欠陥であると判ったら管理組合の誰が分譲業者と交渉するのでしょうか。

【答え】 共用部分の欠陥は、本来は全区分所有者に売買契約で各人の持分が売られていることから、補修費用の請求はそれぞれの区分所有者が請求すべきであるという裁判所の判決が出ました。

 しかし、平成15年6月の改正で、補修費用などの賠償請求も管理組合が全区分所有者を代理して行うことができるようになりました(区分所有法第26条2項)。

 また、品確法によりマンションの売買契約においても分譲業者への修補請求が認められることになりましたので、共用部分を管理する権利と義務を有する管理組合が共用部分の欠陥について修補請求も分譲業者と交渉する権利があります。

【質問】 しかし、私などは建築関係の知識もなく、他に理事としてする仕事もたくさんあり、とても交渉をする自信はありませんが。

【答え】 理事だけではとても対応できませんので、マンションの中に建築の専門知識を持っている人に呼びかけて委員会を作り、理事長と理事の内2〜3人はその委員会に加入して継続的に分譲業者と交渉する方法があります。

 また、このような欠陥調査を専門としている建築士や調査会社に共用部分の調査を依頼して、早期にマンションの欠陥を専門的に明確にしておくことも大事です。

 交渉については弁護士を依頼することもできますが、交渉を全部弁護士に任せないで、理事や委員も同席して進める方が良いと思います。

【質問】 私のマンションではつい最近、管理組合で分譲業者と交渉をはじめました。

 地下駐車場のコンクリート壁に大きな亀裂があったり、コンクリート壁の鉄筋がさびて茶色の汁を流している壁があったりするのですが、分譲業者の部長は「大したことはない。そのようなものはモルタルで埋めればいい」と簡単に言って、補修方法について私達の言い分を相手にしてもらえず、困っています。裁判しかないのでしょうか。

【答え】 地下駐車場のコンクリート壁の亀裂等は構造的な問題がないかどうかも検討しなければなりません。亀裂をモルタルで埋めただけでは不十分であり、同様な亀裂について建築士が介入して交渉し、分譲業者(そのマンションの建設した会社を含む)が壁を作り直したマンションもあります。

 また、コンクリートのかぶり厚さが不足して鉄筋が露出していたら、他の壁等をRCレーダー等で検査をすると、建築基準法施行令第79条で定められているコンクリートのかぶり厚さが不足している壁も明らかになります。あるマンションは、裁判を提起して結構多額の賠償請求が認められた例もあります。

 そのようにマンションの建物躯体部分に関する欠陥は簡単に諦めないできちんと対応し、早い時期に補修させることが大切です。

 裁判を起すには、次のような準備が必要でしょう。

 (1) 建築士又は調査会社による欠陥の調査を行い、報告書を作成してもらう。

 (2) 欠陥の補修費用の見積書を作成する。

 (3) 総会(臨時総会でもよい)において管理者(多くのマンションの規約では管理組合の理事長)が原告となって裁判を提起することを承認する決議が必要である(区分所有法第26条4項)(但し、規約で理事会の決議で良い旨の規定があれば理事会の決議で決定できる)。

 (4) 総会で裁判提起が決議されれば、管理者は遅延なく区分所有者にそれを通知する(区分所有法第26条5項)。

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