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共用部分の欠陥(その4)

2008年4月5日

  • 筆者 弁護士・田中峯子

【質問】 私のマンションは建築されて12年経ちました。ところがベランダの手すりがコンクリートになっているのですが、その部分から茶色のしみが出はじめました。全戸調べてみますと、コンクリートの手すり部分が斜めのデザインになっていて、斜めに外側に出て行く部分に茶色のしみが多く出はじめました。調査したところ、コンクリートは同じ幅で真っすぐ打たれているにもかかわらず、鉄筋は斜めに組まれていて外側に出ているように作られていました。先の方は鉄筋のかぶり厚さが5ミリしかないことも明らかになりました。どうすればいいでしょうか。

【答え】 共用部分の欠陥の補修を誰に請求できるか、それはどのような法的根拠が必要かということを明らかにしなければなりません。

 (1) 平成12年3月31日以前にマンションの契約を締結した人について、瑕疵(かし)担保期間が契約書では多分引き渡しを受けてから2年と書かれている契約書が多いと思います。民法ではコンクリート建物は瑕疵担保期間が10年ですが、民法は契約で別に規定された場合はその期間が優先すると規定されていますので、契約書の期間が引き渡しを受けてから2年であればそれが優先します。

 瑕疵担保期間とは売主に対して補修金額などの金銭を要求できる期間をいいます。なお、アフターサービスの保証書があって、基本的に重要な部分は10年間保証すると書かれている場合は、10年間となります。ただし、アフターサービスは売主自らが補修を行うと書かれている場合が多く、金銭賠償はできないのでご注意ください。

 (2) 平成12年4月1日以降は“品確法”が制定されたため、基本的な構造部分と屋根、外壁、開口部からの雨漏りは10年の瑕疵担保期間が認められました。これは強行規定といって契約当事者間の契約でこの10年を短縮しても無効となります。

【質問】 私のマンションは引き渡しを受けて12年なので品確法の制定前で、契約書には瑕疵担保期間が2年と書かれていますので、もう売主に請求できないのでしょうか。

【答え】 ご質問の手すりの鉄筋のサビは、建築基準法施行令79条に規定されているコンクリートのかぶり厚さが不足していたということですから、売主や建設会社は法令違反の建物を造って売ったことになります。

 このような場合、不法行為が成立することになります。平成19年7月6日、最高裁判所は建物の安全性が害される場合、不法行為が成立するとの判決を下しました。

 建物の安全性とは建物の構造部分の安全性はもとより、手すりなど現実に安全性が害される場合も含むとして不法行為の適用範囲を広げました。

 したがって、質問の手すりも建物の安全性に含まれます。

【質問】 なぜ“不法行為”を強調されるのでしょうか。

【答え】 不法行為は民法724条で、時効(請求を行える期間)が(1)行為(建築の時)から20年、(2)その欠陥を知ったときから3年以内に相手方に請求すれば良いことになっています。したがって、今回のケースでも、売主および建設会社が手すりの鉄筋コンクリートのかぶり厚さが法令に違反することを知っていたり、または過失によって知らなかったりした場合、最高で建築工事時より20年間は売主および建設会社に補修費用などの賠償金を請求できるのです。

【質問】 そうすると私のマンションも12年経ちましたが、売主や建設会社相手に請求できるのですね。補修費用の他に何が請求できますか。

【答え】 (1)補修費用、建築士の調査費用、調査会社の費用、弁護士費用を管理者(規約で管理組合の理事長となっている場合が多い)が総会で裁判提起を決議された場合などは全体として請求できます。

 (2) この補修工事で住んでいられない期間ですが、たとえばマンションの構造部分の補修工事で住めないときは各区分所有者の移転費用(仮住居費や引越し費用)と慰謝料請求は各区分所有者の個人請求と考えられ、(1)の全体請求と同時に各個人が裁判提起に加わるという方法が考えられます。

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