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管理費の不平等(その1)

2008年6月7日

  • 筆者 弁護士・田中峯子

【質問】 私のマンションは等価交換方式といって、元土地所有者の人が建設会社との間で土地代と建設費用を同額で交換して建てたマンションです。

 そのため、元土地所有Aさんの所有する部屋の管理費が分譲で買った私たち区分所有者の約2/1の低額に決められていました。修繕積立金も管理費の10%ですから同じく低額になります。

 200戸もある大きなマンションで各住戸の広さも大小さまざまあり、10年経ってようやくAさん所有の住戸と他の住戸の間に差があることがわかりました。どうすればいいでしょうか。

【答え】 管理費や修繕積立金は、マンションの維持・管理のために絶対に必要な費用であって、マンションの区分所有者全員が自分のマンションを維持するために支払って、マンションを守っていくための重要費用です。マンション分譲から10年、20年、いや建て替えまで維持・管理するために必要とされる大事な費用です。もし、元土地所有者Aさんが所有する住戸部分の管理費が1/2だとすると、土地と建設費の等価交換でAさんはマンション全体の1/2〜1/3の床面積を取得しています。Aさんの管理費等が1/2の低額になっていれば、10年も経つと、あなたのマンションの管理費等は不足して全部を値上げをしなければならなくなるでしょう。

 このような不平等な管理費の取り決めには総会でよく議論をして、低額の管理費を上げていかねばなりませんね。

【質問】 ところが、私のマンションの規約に管理費の一覧表がついています。その一覧表にはA〜Xまで部屋の記号がついているだけで、どの部屋がいくらの管理費等を払わなければならないかは明確にされていないので、10年間もわからなかったのです。この管理費等の一覧表を変更するには規約の変更をしなければならないのでしょうか。

【答え】 通常では規約の変更までしなければならないと考えられがちですが、規約変更の必要はないとの判例が出ました。

 概略で述べますと、規約変更となると総会で特別決議である3/4以上の賛成が必要になりますが、管理費の変更は普通決議である1/2以上の賛成でよいのです。

 神戸地方裁判所は、次のような判断をしました。

「(管理費の)別表の記載は額が規約の一部に定められているようにも思われるが、規約では、規約変更は特別決議で決するものとするが、他方、管理費等の額については特別決議の対象事項とはされていない。かりに管理費等が規約事項とすると、その額の変更は規約の変更に当たることになるが、これは規約が前記の異なる扱いを定めることと矛盾する。本件規約は管理費等の納入義務を定めるにすぎない」

 同判決は、管理費の額の改定は規約変更に当たらず特別決議を要しないと判示しました。

【質問】 よくわかりました。しかし、総会で規約を変更した方が問題のない方法というのであれば、総会で3/4の賛成を得るように努力したいと思いますが、

【答え】 規約を改正するのは総会において特別決議を経なければなりません。特別決議というのは、区分所有者数の3/4以上の賛成,議決権数の3/4以上の賛成で可決することが必要です。特に議決権は床面積の広さによって議決権数が決められているマンションが多いようです。一番困難なのは議決権数の3/4以上の賛成を得ることです。

 特に等価交換方式のマンションでは、区分所有者数は床面積の広い部屋でも一人の区分所有者として1票しか持ち得ませんが、議決権が床面積で決められるとすると、例えば元土地所有者が1/4以上の床面積を持っていて反対されると、規約の変更が難しくなるのです。

【質問】 その上、元土地所有者は「もし自分の管理費等の額を上げるなら、その影響を受ける自分の同意を得なければいけない」と理事の人に言ったそうです。本当でしょうか。

【答え】 区分所有法第31条第1項は、規約の変更について一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない旨規定しています。管理費等の変更を決議されたため、「特別の影響」に該当するかが問題となります。

 しかし、「特別の影響」とは、規約の変更の必要性及び合理性を勘案し、これによって受ける一部の区分所有者が受忍すべき程度を超える不利益を受けると認められる場合と解されています(コメンタールマンション区分所有法第2版189頁)。

 よって、あなたのマンションのように管理費等に1/2の差がある場合は、有利な一部の区分所有者にとって、たとえ管理費等が他の区分所有者の額と同額になっても、受忍すべき程度を超える不利益とは言えないでしょう。

 管理費や修繕積立金はマンションの全区分所有者がマンションを維持管理するために支払う費用ですから、全区分所有者にとって平等・公平な額を決めることが重要なことです。

 次回に続きます。

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