2009年5月30日
【質問】私のマンションも10年たち、そろそろ内装をリフォームする人が出て来ました。特に今問題となっていることは、畳の部屋をフローリングに貼りかえたいという希望者が多いのです。
しかし、フローリングにすると階下に音が響いて紛争になるので、規約を改正して絶対禁止にすべきだという強硬派も何人かいます。どのぐらいの音が騒音となるのでしょうか。
【答え】マンションで一番多いトラブルは騒音の件です。その中でもフローリングとピアノの騒音は特に問題となっています。
床のコンクリートスラブの厚さが15〜20センチあると多少音は小さくなるのですが、それでも生活の仕方によっては相当響くと言われております。
その音の大きさですが、日本建築学会の表によりますと、55db(デシベル)が普通で、60dbはうるさい範疇に入ります。裁判例でも60〜65dbになると騒音であると認定されています。
実際マンションで、階上の音の測定に立ち会ったとき、床スラブは20センチの厚さがありましたが、階下でシーンとした状態で上の音を聞いていますと、足音、いすを引く音が全部聞こえます。かなり大きな足音がしたとき、測定器を見ましたら45dbだったのは驚きました。
裁判例によりますと、55db以下は「受忍限度内である」と認定されていますので、マンションのような集合住宅では音に対してはかなり耐え忍ばなければならないといわざるを得ません。
【質問】他のマンションではどのように騒音対策をしているのでしょうか。
【答え】使用細則または総会の決議事項として、フローリングは45db以下の使用のものを則ること」と決めて、理事会の承認を受けることとなっているマンションもあります。
実際そのような定めのあるマンションであるにもかかわらず、その定めに反して55dbのフローリングを貼った人が使用方法も乱暴で、騒音を生じさせていると認定されて損害賠償をせよとの判決を下された例もありました。
【質問】しかし内装は専有部分の問題であり、区部所有者の個人の権限の問題とも思われますが。
また、上階の区分所有者と階下の区分所有者の問題であって、管理組合が立ち入るべき問題ではないと思うのですが。
【答え】確かにそのようにも考えられます。
裁判例にしましても、管理組合が原告になって騒音を出している人を訴えている事例はほとんどないように思います。裁判は個人対個人で行われているようですね。
しかし、使用細則や総会決議があると、管理組合はその違反者に対して何らかの対策を立てなければなりませんので、まったく部外者でいるわけにはいかないでしょう。
管理組合(理事会)は騒音の件について、被害者から改善させて欲しいとの要望が出れば、全員に伝言板やチラシで静かに生活をするように、他人に迷惑をかけるなとアピールをするよう努めなければならないでしょう。
【質問】ところで規約を改正してフローリング貼りを禁止することを定めることは可能でしょうか。そして規約に違反した人を裁判で訴え、原状に回復させることは出来るでしょうか。
【答え】とても難しい質問ですね。
マンションは集合住宅ですが、区分所有者は区分された所有権を1人ずつ持っている形態です。分譲時にフローリング貼りに変更してはならないという契約または規約が存在すれば、それを了解して買ったのですからそれに従わざるを得ません。
しかし10年たって、途中で一律にフローリング禁止について規約改正をすることは出来るのでしょうか。
フローリング貼りは音は確かに大きく出ますが、ダニやほこりなどを防止し、健康上もよいとされています。例えば、ダニアレルギー、ほこりアレルギーの人もいます。犬の飼育のように一律に規約で改正することが許されるかというと、45dbのフローリングを貼れば、それほどの騒音になるとは考えられず、専有部分の使用について厳しい制限をすることはいかがなものと考えられます。
【質問】そうすると、規約にフローリングの騒音禁止の条項がないと個人対個人の争いになって、管理組合が騒音を出している人に対して対処できないのではないですか。
【答え】区分所有法第6条第1項は、「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」と規定しています。
これは「区分所有者の生活上の利益を含む建物の管理・使用全般にわたる共同の利益に反する行為」がこの条項にあたり、「たとえば騒音・悪臭を発したりする行為がこれに当たる」と言われています(コンメンタールマンション区分所有法第2版44ページ)。
したがって、使用細則や総会決議事項でフローリング貼りが禁止になっていれば、なお一層共同の利益に反する行為として追及できるのではないでしょうか。