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マンション管理費、滞納者に対応するには その1

2011年4月9日

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Q どこのマンションでも管理費や修繕積立金を滞納している人がいて困っているということを聞いておりましたが、私のマンションでもAさんがもう10ヶ月間も管理費等を支払っていません。

 理事会としてAさんに対し何度か支払いを請求しましたが、応じません。Aさんの所有の201号室の登記簿を調べてみましたところ、銀行から借金が多く、抵当権が設定されていて、どうも現在の売買相場より残債務が多い(オーバーローン)の状態です。どうしたらいいでしょうか。

A 確かに、どこのマンションでも管理費等の長期滞納者に頭を痛めています。先取特権で区分所有物を強制執行しようとしても、抵当権の設定があれば抵当権が優先するため、オーバーローンのときは劣後となってしまいます。

 管理費等を滞納した場合、他の区分所有者が出した共用部分の維持管理費用の負担で共用部分等を利用することになり、不公平となりますし、放置すると滞納者が増える傾向にあります。

 このような観点からみると長期かつ多額の管理費等の滞納者に対して、管理組合は何か法的手段を考えて行かなければなりません。

Q この間聞いた話ですが、滞納者の区分所有物を競売してしまい、新しく競落した人から区分所有法8条に基づき滞納分も取り立てることが出来るといいます。ただ、私のマンションのAさんは、現在も自分で住んでいて滞納しており、仕事もあまり儲からないようなので、方法がありません。

A 競売が出来るかどうか、いろいろな裁判があります。その理論構成は次のようになっています。

 管理費等を支払わないというのは、区分所有法6条1項の「建物の管理又は使用に関し、区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」との規定に該当し、共同利益背反行為となります。

 そして共同の利益が著しく害され、他に共同の生活を維持することが困難である時は、集会の決議に基づき、訴えた上、競売を請求できると同法59条1項は規定しています。つまり、長期滞納は共同生活上、著しい障害が生じていると言えます。

 そして、この障害を除去する他の方法、例えば先取特権の行使や滞納者の財産に対する差し押さえ等で回収が不可能である場合のみ、同法59条1項の競売をすることが出来るとした判決が東京地方裁判所(平成18年6月27日判決)で出ました。

 しかし、このケースは滞納者から分割弁済をしたいという和解の申出があったが、管理組合の方でそれを拒否した事情があって、この判決では競売申立は認められませんでした。

Q 他に管理組合の競売の申立を認めた判決はありませんか。

A まずひとつは、東京高等裁判所決定(平成16年5月20日)です。概略を申し上げると、区分所有法59条1項で認められている競売について、民事執行法195条にもとづき執行裁判所が優先債権額がある場合、競売するにあたって最低競売価額を評価したとき「剰余」が生じない場合は、民事執行法63条の「無益の執行の禁止及び優先債権者の保護」の規定により、競売の申立を却下すべきであると判断した東京地方裁判所の決定を取消しました。

 例えば金融機関の3000万円の抵当権が設定されている場合、最低競売価額が2000万円としますと、マンションの管理組合が競売を申し立てても「剰余金」はないから、競売申立は却下するという規定が民事執行法63条にあり、東京地方裁判の一審決定は、それを適用して管理組合の競売申立を却下しました。東京高等裁判所はこの一審決定を取消し、逆転した決定となりました。この高等裁判所の決定は、区分所有法59条1項の規定を重視し、民事執行法63条は適用されないと判断し、管理組合の競売申立を認めました。

 さらに、これとは別の東京地方裁判所(平成17年5月13日)判決では、滞納者は管理組合の支払請求には応ぜず、ついには滞納分は50ヶ月に及んでいたケースで、長期の滞納者であるから共同の利益に反する行為であって、区分所有法6条1項,59条1項,57条1項に該当し、競売の申立を認めると判断しました。

 そして、1) 滞納者の態度から見て任意に(自ら)支払われる見込がなく、今後不払額は増大すること、2) 管理組合は採り得る手段はほとんど行なっていること、3)区分所有者の共同生活上の障害が著しく、共同部分の利用の確保、その他共同生活の維持を図ることが困難であること、などを認め、競売の申立を認めました。

Q 競売の申立もそう簡単ではないのですね。競売申立の他に滞納者から管理費等を支払わせる方法はありませんか。

A 考えられる方法としては、いくつかあります。

 滞納者が給与所得者の場合には、給料を差し押さえられます。但し、全額は差押えられません。自営の場合は、給料額を低くしていて差し押さえ額が少ない場合があります。

 また、滞納者がその専有部分を他人に賃貸していたら、その賃料の差し押さえが出来ます。滞納者の預金の差押えが出来ますが、滞納者の取引銀行等が判明しなければなりません。今まで管理費等を振込んで来た銀行先等を調べたりします。

 または滞納者自身が住んでいる場合は、動産と称してテレビ等を差押えられますが、中古品を買う人も今は少なく、あまり効果はあがりません。さらに、その他、滞納者の別の所有物(土地・建物等)も差押えられます。

 ただこれらはあまり効果が上らないので、前述した競売によって次の承継者(競落人)から未払い分を納入してもらおうと、競売の申立の要求が今後多くなるかもしれませんね。

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