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2012年9月29日
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「ここが知りたい」

親から土地を借りて賃貸住宅を建てる場合、地代は?

筆者 税理士・多田雄司

【質問】父親から土地を借りて賃貸住宅を建築することを考えています。父親に地代を支払わなければなりませんか。

【答え】地代を支払う方法と支払わない方法があります。この場合、採用する方法によって税務の取り扱いは異なります。

【質問】地代を支払う方法による場合は。

【答え】親子間で賃貸借契約を締結します。地主であるお父様は借地人であるあなたに対し、賃貸する土地に借地権を設定させることになります。つまり、借地借家法が適用されます。

 借地借家法は、借地人に対し強い保護を与えています。これを経済的に観察すると、地主は土地の所有権の一部である借地権を賃借人に移転すると考えることができます。

 したがって、地主は借地権を設定させることに対する代金(権利金)を受け取ることになります。

 地主が受け取る権利金は、所得税の課税の対象になります。その所得の区分は、譲渡所得と不動産所得のいずれかです。

【質問】譲渡所得と不動産所得を区分する基準は。

【答え】譲渡所得は、土地などの資産を譲渡したことにより生ずる所得のことです。この場合、不動産業者による商品である土地を譲渡することによる所得などは除きます。

 不動産所得は、土地、建物などの賃貸により生ずる所得のことです。

 権利金の所得の区分については、受け取る権利金が、その土地の時価の50パーセントを超える場合は、譲渡があったと考えて譲渡所得とします。50パーセント以下の場合は、不動産所得になります。

 さらに、受け取る権利金が、その設定により支払いを受ける地代の年額の20倍以下の金額である場合は、不動産所得の収入金額に当たると推定します。

 この推定の意味ですが、一応その規定のとおりに取り扱います。ただし、そうでないことを反証すれば、その規定の効力は生じないこととするということです。

【質問】権利金のやりとりをしない場合は。

【答え】お父様とあなたが、権利金のやりとりをする契約を結ぶか否かは自由です。もし、権利金のやりとりをしないこととした場合であっても、お父様は課税されることはありません。

 所得税は、原則として当事者の契約内容に基づいて課税します。みなし課税といって、独自に課税するのは、所得税法に規定がある場合に限られます。

 譲渡所得については、個人が法人に対して無償または時価の50パーセント未満の代金で譲渡した場合について、時価を収入金額とする規定が設けられています。

 しかし、借地権の設定については、既に説明しましたが、その土地の時価の50パーセントを超える金額を受け取る場合に限り、譲渡所得とします。また、譲渡する相手が個人の場合は、このみなし規定は適用しません。

 したがって、権利金についてのみなし課税は、ありません。

 お父様が、受け取る地代についても、みなし課税の規定はありません。したがって、地代も契約で定めた金額を収入金額として所得税を計算します。

【質問】地代も自由に決めていいのですね。

【答え】これまでの説明は、地主であるお父様の所得税についてのものでした。

 これに対し、借地人であるあなたに対する税金は、別に確認する必要があります。

 結論としては、権利金を支払わない場合は、原則としてあなたはお父様から権利金に相当する金額の贈与を受けたとして贈与税が課税されます。

 ただし、権利金を支払わないでも、贈与税が課税されない方法はあります。あなたがお父様に相当の地代を支払った場合です。

 具体的には、お父様に年地代として相続税の評価基準で計算した土地の評価額の過去3年間の平均額の6パーセントの地代を支払う場合です。

 相当の地代を支払った場合は、権利金を支払わなくても贈与税は課税されません。

【質問】私としては、権利金や相当の地代は支払いきれませんね。

【答え】いずれの方法でも、あなたは多額のお金をお父様に支払うことになります。これでは、あなたがアパート経営をする意味はなくなります。

 そこで、使用貸借契約で土地を借りる方法を考えます。使用貸借契約とは、地代を支払わないで土地を使用する契約です。権利金も支払いません。そして、土地の使用が終わると地主であるお父様に土地を返還します。

 かつて、国税庁は使用貸借契約の場合も借受者は経済的な利益を受けているとして贈与税を課税していました。しかし、これを不服とした納税者は裁判に訴えて勝訴しました。その結果、国税庁は態度を改めて、贈与税の課税をしないことになりました。

【質問】使用貸借契約で土地を借りる方が、贈与税の問題を考えなくていいですね。

【答え】親族間で土地を貸借する場合は、使用貸借契約によることが多いと思います。

 ただし、将来お父様が死亡すると相続税の問題が発生しますが、この土地はあなたに借地権は発生していないとして取り扱います。

 すなわち、この土地の相続税を計算する場合の評価額は、お父様が自分で使用している自用地として評価額になります。

 これに対し、賃貸借契約で土地を借りている場合は、自用地として評価額から借地権の評価額を控除した金額が評価額になります。

 お父様が生前に、あなたにこの土地を贈与する場合も同様に評価します。

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