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2012年10月27日
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「ここが知りたい」

母名義の定期預金でも父の財産?

筆者 税理士・多田雄司

【質問】父の相続税を申告しました。税務調査で、8年前に父名義の定期預金2千万円を解約し、同額を母名義にしている定期預金は父の財産であると言われています。生前贈与は認められないのでしょうか。

【答え】お父様からお母様に贈与したと認められる場合には、お母様名義の定期預金はお母様のものです。したがって、お父様の相続税の申告に際しては、お父様の相続財産に加える必要はありません。

 しかし、お母様名義の定期預金が、名義を借りたものに過ぎないと認められる場合は、税務署が主張しているように、お父様の相続財産になります。

【質問】母名義の定期預金を作っただけでは贈与したことにはならないのですか。

【答え】お母様名義の定期預金の作成は、お父様からお母様への贈与に基づくものでなければなりません。

 あなたの場合で贈与を考えますと、贈与とは、お父様がお母様に現金を与えることを伝え、お母様がいただきますという意思を伝えることにより、その効力が生ずるものです。

 つまり、お母様名義の定期預金を作っただけでは贈与と考えません。

 その理由は、家族間では夫は妻名義で預金を作ることは、珍しいことではないからです。

【質問】贈与契約書を作っておけばいいのですか。

【答え】贈与の意思を明確にするという点からは、作成しておくのがいいと思います。

 ただし、贈与契約書の作成が形式的なものである場合は、贈与の事実が否定されることがあります。

【質問】否定される場合とは。

【答え】お母様名義の預金を作っても、その預金を引き続きお父様が管理していると考えられる場合です。

 このような預金は、お父様の相続財産になります。

【質問】どのような状態が父が管理していることになるのですか。

【答え】事例として多いのが、お母様名義の定期預金の届出印をお父様と同じ印鑑にしている場合です。これは、お母様名義の定期預金をお父様が管理していることを意味します。

 この場合、税務署員はお母様名義の定期預金は、お父様の相続財産ではないかと強く疑います。

【質問】父の印鑑を使っておれば、贈与がなかったことになるのですか。

【答え】税務署員は、色々な角度から総合的に判断します。

 例えば、定期預金を作る際に、銀行所定の用紙に記入した人は、お父様なのかお母様なのかを確認するかも知れません。

 また、定期預金が満期になって更新する場合に、その金額が多額であるときは、銀行員が預金をしている人の自宅に出向くことがあります。このような場合に、定期預金の更新の手続をお父様が行ってきたのか、お母様が行ってきたかの確認をすることがあります。

 これらの確認は、税務署員は調査権に基づいて銀行に確認することができます。

 納税者が贈与を受けたと主張する年の贈与税について申告しているかどうかも、判断基準の一つです。

 結論としては、お母様名義の定期預金2千万円をお母様の意思で自由に解約したり、更新できる状態にあったか否かが判断のポイントになります。

【質問】母と私たち子供との遺産分割の協議で、母名義の定期預金2千万円は、母の財産として遺産分割の対象から除外しました。

【答え】定期預金2千万円を相続人の間でお母様の財産として合意したことは、税務署員も参考にすると思います。しかし、相続人の間の合意をそのまま認めるのではなく、これまで述べた色々な事実(証拠)に照らして判断します。

【質問】調停とか裁判で定期預金2千万円は母の財産とされた場合は。

【答え】遺産分割の調停は、その遺産の分割について当事者間の自由な合意によって成立することを基本とする制度です。

 つまり、調停機関は当事者間の意思に反した何らかの判断を示すものではありません。

 仮に当事者間の自由な合意が課税庁を拘束する場合は、この調停制度を利用して当事者間で遺産の範囲を狭くする旨の合意をすることによって、相続税の課税を免れることが可能になります。

 したがって、調停制度で財産の帰属を合意したとしても、課税庁を拘束することはできません。

 次に、相続人全員を当事者とする遺産範囲確認請求訴訟で、財産の帰属が決まった場合には、なれ合い訴訟でないと認められる限り、その判決内容を尊重すべきであると考えます。

【質問】母が定期預金の一部を取り崩していた場合は。

【答え】定期預金の届出印がお父様の印鑑でないことが前提になりますが、お父様の指示によらないで、お母様の判断で取り崩したと認められる場合は、定期預金はお母様のものと考えることができます。

【質問】相続開始の前に父の届出印から母の印鑑に変えていた場合は。

【答え】定期預金をお母様が管理している状態であることが前提になりますが、その時点で贈与があったと考えることができます。

 つまり、印鑑を改印してお母様が管理している状態になったと認められる場合は、その日が贈与を受けた日になります。

 この場合、贈与を受けた日の翌年3月15日が贈与税の法定申告期限になりますが、この法定申告期限から5年以内の期間については、税務署長は贈与税を課税することができます。

 さらに、相続人が被相続人が死亡した日前3年以内に贈与を受けた財産は、相続税の財産に加える必要があります。この場合、課税された贈与税はその相続人が支払う相続税から控除します。

 あなたの場合は、お母様名義の定期預金を相続開始の前8年前に作っています。もし、この時点で贈与があったことが証明できれば、贈与税も相続税も課税されません。

 贈与が認められない場合は、お父様の相続財産に当たり、相続税の課税の対象になります。

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