The theme of the week
我が家、外見もスゴイんです!
fromアラブ首長国連邦・伊勢本ゆかり
砂漠の国で水のあふれ出る蛇口!
灼熱(しゃくねつ)の気候と砂漠の地といったイメージの強いアラブ首長国連邦。ところが、ここ数年のうちに目覚しい開発を遂げ、いまや世界1、2を争うほどの近代国家になった。なかでもヤシの木をかたどった人工島「ザ・パーム」やヨーロッパ人の避寒リゾート地としても有名なドバイには、高級ホテルや高層ビル、マンションが立ち並び、豪邸満載のビバリーヒルズも顔負けの「エミレーツ(首長国)ヒルズ」と、砂漠開発の勢いはまだまだとどまるところを知らないばかりか加速している。
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| これが「ザ・パーム」(模型)。ドバイの海岸線からつながっているヤシの木型の埋め立て島。すでに一つは完成し、分譲住宅は完売 |
そんなこの国の家にも、昔ながらの伝統が垣間見える不思議な光景に出あう。
地元のアラブ人が住んでいる家の外塀には、おもむろにステンレスの蛇口が外に向かって装備されている。古くからある長屋風の家、新築の一戸建てを問わずよく見かけるこの蛇口。完全に外向きに、そして道路に面して作られていて、蛇口をひねるとガソリンよりも高いこの国の「水」がふんだんに、しかも冷たく冷やされて出てくる。もちろん飲み水にも利用可能。では一体何のために?
答えはイスラムの教えにあり。イスラム教でもっとも大切な五行のひとつ、「喜捨」の精神にのっとったこの蛇口。「持てる者は持たざる者にそれを分け与えるべし」というわけで、貴重な飲み水が惜しげもなく不特定多数の人々に提供されているのだ。お祈りに向かう人たちが身を清めるために、そして屋外を行き交う人々の渇きを癒すために備え付けられたものなのである。何でもこの蛇口には、亡くなった家族の供養の意味も含まれているとか。ここから水を使って体を清めた人が、お祈りの際に自分たちの家族の供養もしてくれると言う仕組みなのだ。もちろん水道代は家主の負担。だが誰でも自由に利用できるし、とがめられることはない。
開発が急ピッチで進むドバイでは、炎天下の工事現場で働く外国人労働者がのどの渇きを癒やすためにこの蛇口を利用することもある。旅の途中でこの蛇口に巡りあったら遠慮なく水を頂戴し、のどを潤し、手や顔を洗って良いのだ。
が、神聖なるこの水。隣の蛇口を拝借して洗車や庭の水まきに使おうなどと考える人には、バチが当たることまちがいない。そう、「アラーの神は偉大なり」と彼らが1日5回唱えている。
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| エミレーツヒルズの豪邸は砂漠の上とはにわかに信じがたい | 右側のステンレス製の箱が蛇口。こんなふうに表通りに面して設置されている。家の横に止めてあるのは家主の趣味のアラビアンボート |
(2004/06/08)
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