The theme of the week
よりどり間取り
fromサウジアラビア・安井直美
限りなくシンプル、遊牧民の住まい
何だか見覚えがあるんだけど……。
アラビア半島北部、ネフド砂漠を旅した時に見かけたテント。私たち日本人が運動会などで見かける、校長先生が座っていて、来賓席なども設けられているあの白いテント、まさしくそんなカタチをしている。砂漠の民、ベドウィンの住まいだ。
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| いたって簡素な外観 |
その運動会テントに、壁となるキャンバスを付けた簡素な造り。もともとは黒くて厚いウールの生地を使っていたのだそうだが、今では価格がお手ごろな輸入物の白いコットンキャンバスに取って代わられているのだとか。ラクダや羊などの毛を紡いで織ったテントはとても丈夫な作りではあるけれど、とにかく重くて取り扱いも修繕も難儀する。夏の暑さ、冬の寒さを避ける伝統的な暮らしの知恵ではあるが、今では作り手も少なくなってしまったのだそうな。
中はと言うと、もちろんオトコの空間とオンナの空間がきっちりと分けられている……はずなのだが、招かれて入ったテントはどうやら外国人のお客をもてなすためなのか、特別な室礼(しつらい)になっている様子で、老若男女がごちゃまぜに座っているではないの。アラブの雰囲気満点の調度品も多く、何だか「テレビ撮影用ですか?」と突っ込みたくなる気合のディスプレー。圧倒されて写真撮影をちゅうちょしていると、あれも撮れ、これは撮ったかと厳しく「仕切り」が入る始末。
石油が見つかって以来、暮らしぶりが激変したとはいえ、サウジアラビアではまだ大勢の人たちが遊牧民として移動生活を続けている。乾燥性砂漠気候のアラビア半島内陸部では、夏の暑さといったら日本人の想像をはるかに超えるもの。日中の気温は50度を上回り、空気がゆらゆらとうごめくのが体感できる。砂漠全体がまるで大きなパン焼き窯のよう、とでも表現したら良いのだろうか。
冬の寒さも半端じゃない。意外と標高が高いので、内側がムートン張りの寝袋を使うのだとか。基本的にラクダや羊を飼っての遊牧生活なので、餌となる草を追っての引っ越しが続く。生活のすべてがシンプルにならざるを得ないようだ。
一方、街では冷暖房完備でハリウッド・スターの豪邸も真っ青っというような、きらびやかな屋敷が増殖中。果たしてアラビア半島の遊牧民は、都会暮らしの甘い誘惑に勝てるのか。
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| かなり広めな内部。奥にお湯を沸かすための囲炉裏がある | 何とものどかな砂漠の風景。邪魔してごめんね |
(2004/08/03)
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