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The theme of the week
 家族団らんの場所
fromペルー・飯尾響子
廊下でたむろ

 リマでも、ふつう家族は居間や食堂で団らんする(と言われている)。しかしリマのいろいろなお宅を訪ねるうちに、もうひとつの奇妙な団らんの場を発見した。どこのお宅でも居間がきれいすぎて、どうもあやしい。ふだん家族が団らんしている形跡がまったくないではないか。そう思ったのが、第2の団らんスペース発見のきっかけとなった。

 ふつうお客は入らない家の奥を見ると、このナゾは解ける。こういうお宅では居間がきれいな代わりに、家族それぞれの私室に入る手前のスペース、つまり廊下の一部が大抵ちらかっているのだ。2階建ての家ならふつう階段を上ったところに当たるが、そこに電話やテレビ、ジム用品などが置かれ、いつも家族のだれかれが、何となくくつろいでいる。ホテルでは、エレベーター前の廊下にソファが置いてあるが、あれがもっと散らかった感じと言えばお分かりいただけるだろうか。

 しかもこれは、たまたまその家族がだらしなく、なりゆきで廊下に物がたまっていったわけではないらしい。ある住宅会社でモデルハウスを見せてもらった際、販売員がこう教えてくれたのだ。「階段を上ってすぐのこの部屋は、壁をとり払い、2階ホールを広げることも可能です。私室に入る手前に家族共用の広いスペースがほしい、とおっしゃる方がとても多いからです」

 でもそれなら、なにも1室つぶさなくてもそのまま家族室として使えばいいのではないだろうか。どうしてわざわざ半端な廊下スペースを広げなくてはならないのだろう?

 廊下には家族用のトイレが面しているから、そのすぐ外に一族郎党がたむろしていたら、中の人は落ちつかないに違いない。また冬には階段から冷たい風が吹き上がって寒そうだ。大体が「2階ホール」と言えば聞こえはいいが、廊下は廊下だ。そこに客間から追放された古ソファが置かれ、いろいろな配線がのたくり、はっきり言って見苦しい。

 なにが楽しくてこんな場所にたむろするのか理解に苦しむが、リマッ子の気質を考えれば分からないこともない。リマッ子は寂しがりだから、自室にひとりでこもるのは眠るときだけで十分なのだろう。でも、居間は汚くするとお母さんに怒られる。その点、廊下の片隅なら客の目に触れないから、安心して散らかしておける。

 つまり廊下の「誰のものでもない場所」という気安さが、家族みんなを引きつけているらしいのだ。現に廊下でくつろぐ習慣のある友人宅では、子供部屋や居間では大ゲンカする子供たちが、廊下ではいつも仲良く遊ぶという。つまり廊下は、リマの大家族にとっての非武装中立地帯なのである。

階段を昇ったところにその家庭の真実の姿がある?廊下のたむろスペースを見れば家族&ペット構成も推定できる
(2005/01/05)














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