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家の外で水まきをするメードさん。いろいろお疲れさまです。 |
from ペルー・飯尾響子 ここが変だぞ、世界のウチ!
リマのアパートや一軒家には、台所の裏あたりに半端な小部屋がくっついている。ほとんどの場合、窓はなく、装飾も一切なく、シングルベッドを入れたら、それだけでいっぱいになる。家族の部屋にしてはあまりに小さく素っ気ないが、まさかお仕置き部屋かタコ部屋というわけでもあるまい。かと言って物置にしては、簡素なシャワーとトイレがついているのが変である。
実はこれ、当地の中流以上の家庭なら雇っている住み込みのメードさんの部屋なのだ。中に入ってみると、小さなベッドにいす一つ。奥には1畳に満たないトイレとシャワー。これがメードさんが週6日の夜をすごす部屋のすべてだ。しかも、物置スペースのない家が多い当地では、しばしば掃除道具もこの部屋に放り込まれ、いっそう狭くなってしまう。
ペルーのメードさんは、みんな私たちと同じモンゴロイド系の黒目黒髪の女性たちである。白人が雇い主、アンデスやアマゾン出身の小柄な彼女たちがメードさんというのは、階級社会のペルーの構図だ。日本人としては顔立ちがそっくりなメードさんが可愛そうで、「こんな部屋じゃ、いくらなんでも」と雇い主に聞くと、「だって彼女たちは一日中、掃除や料理をしていて、部屋には夜に休みに行くだけだから、これで十分よ」という冷たい言葉が返ってくる。
当事者のメードさんの話を聞いてみても、そうそう不満を持っているわけでもないらしい。彼女たちの出身地、アンデス地方の田舎では、寒さ対策もあって一族郎党が「雑魚寝」方式を採っているお宅が多い。だからリマに来てメード奉公をし、生まれてはじめて個室を持ったと、喜んでいるメードさんもいるくらいだ。
それでも寝室に窓がなかったり、あってもはめ殺しの曇りガラスだったりするのは、うっとうしくないだろうか。しかし、彼女たちはこう答える。「私たち結婚前の若い娘がよその家で暮らすのだから、夜はしっかり戸締まりできるほうがずっとありがたいのよ。大きな窓なんかあったら、おちおち着替えもできないわ」
けれども雇い主のほうは、そこまでメードさんの立場を思いやった上で息苦しい小部屋を作ったわけではないのは、火を見るより明らかだ。まったくもう少しましな部屋をメードさんにあてがっても、バチは当たらないと思うのだが……。メードさんを雇わない外国人の中には、あの小部屋を格好のシャワーつきの犬猫小屋として便利に使っているお宅もあるほどだ。