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これがアーノルドとジョン夫妻の自慢のプール。温水なので一年中使える。 |
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プールの周りは舗装され土は全く見えない。ジョンおばさんによると「舗装した方が水も節約できるし、手入れも簡単よ」とのこと。 |
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花はこのようにプランターで楽しんでいる。 |
アメリカ・ユカリ・トラビス あっと驚くアウトドア
ロサンゼルスの夏は暑い! 海沿いの高級住宅地はそうでもないが、我が家がある内陸部では気温が体温を平気で超える日が連続する。そんな時はクーラーをフル回転させた室内に閉じこもるか、灼熱(しゃくねつ)の高速道路を走り抜けてショッピングセンターにでも避難するしか手がない。
しかし、ロスにはこのうっとうしい夏を楽しみにしている人々もいるのだ。それはプール付きの家に住む人々である。
「プール付きの家」などというと豪邸をイメージしがちだが、ロスではごく平均的な家にもプールがある。だからプール付きの家に住んでいる人も、その多くは普通の庶民だ。ただしお金持ちでもないのにプール付きの家に住んでいる人は、ある決断をした人だということはできる。というのは、庶民レベルの家では敷地面積が限られるので、プールがあると庭がない。その逆に庭があると、プールがない場合が多い。つまり「庭かプールか」の二者択一を迫られるのだ。
そこで庭をばっさり切り捨て、「プール!」と答えることができると快適な夏を過ごすことができる。それにしても、この暑さ。やはりプールを選択する人はかなり多いようだ。その証拠に、普通の感覚で考えたらヘンテコな「庭無プール有」の家がロスには多く存在している。
「庭無プール有」の家では、義務的に設けられている前庭を除いた空き地がすべてプールとプールサイドで占められ、土がほとんど見えない。プランターを置けば本物の庭以上に美しく見せることもできるが、ホテルのような人工的な感じがどうしてもつきまとう。これまで私は「一戸建てに土がないとは味気ない。いくら暑くても家には庭が大切」と思っていた。
ところが昨年、私同様「庭派」だったはずの夫の親戚、アーノルドとジョン夫妻が突如「プール派」に転向。芝生の庭をパワーシャベルで掘り返し、全長12メートルのプールとジャグジーを建設したのを見て、気持ちがぐらりとプールに傾いてしまった。
なにしろ、招かれたミニプールパーティーはゴージャスそのもの。プールサイドには冷たいドリンクやトロピカルフルーツが並び、私たちは水中でグラス片手に「これぞカリフォルニア・ライフ」な一日を満喫。私は「カリフォルニアで人生を楽しむには、やはりプールが必要なのだろうか?」と思わず考え込んでしまった。
「庭よりもこっちの方が全然いいわよ。うちでは毎朝ジャグジーに入ってるの。お昼からはプールでエクササイズ。これだけ活用してれば掃除なんて苦にならないわ」とジョンおばさん。
うーむ。しかし庭に咲いているハイビスカス、それよりも何よりも建設費用のことを考えると、そう簡単にプール派にまわるわけにもいかない。当面はブラインドの陰から青空をにらみつつ、プール付きのご近所さんと仲良くする方法でも画策するほかないようだ。